猫といえば気ままでツンデレ、それなのに構いたくなってしまう抗いがたいかわいらしさを持った動物という認識の方が多いのではないでしょうか。
しかし別の側面から見れば、ネコ科の動物には虎やライオンなど大型の猛獣が多く恐ろしいイメージもあります。
本記事ではかわいいと恐ろしい、相反するイメージが同居するネコ科の動物について紹介していきます。
ネコ科って?
生物分類学的階級では、幾つかの分類に分けられ、猫はその内ネコ目ネコ科の動物に分類されます。
ネコ目ネコ科は【ヒョウ亜科】と【ネコ亜科】の2つに大別され、前者はヒョウ系統のみ、後者はそれ以外の7系統の動物が含まれています。
大型なネコ科の猛獣一覧
- ライオン
- ヒョウ
- トラ
- ユキヒョウ
- ジャガー
- ウンピョウ
- ピューマ(クーガー)
- チーター
ライオン
一般名 | ライオン |
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分類 | ネコ目ネコ科 |
下位分類 | ヒョウ属(パンテーラ) |
ペットとして飼えるか | 飼えない |
ライオンの特徴といえば、オスのたてがみですが、そのほか生態にも特徴があります。
ネコ科の動物にしては珍しく、ライオンは【プライド】という群れを形成して生活しています。群れは1〜6頭のオスと血のつながりのあるメス4〜12頭、そして子どもで構成されており、狩りはメス数頭が協力して、シマウマやヌーなどを狙います。
ヒョウ
一般名 | ヒョウ |
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分類 | ネコ目ネコ科 |
下位分類 | ヒョウ属(パンテーラ) |
ペットとして飼えるか | 飼えない |
英名でパンサーとも呼ばれるヒョウは、黄褐色から淡褐色の毛色に黒い斑模様という特徴的な被毛を持っています。
ネコ科らしく夜行性で単独での生活をし、小・中型のシカ、レイヨウ類(ウシ科のヌーなど)を主に獲物としているほか、サル類や魚、爬虫類など幅広く食べるため、肉食というよりも雑食といった印象です。
また餌を守るために樹上での生活を基本としています。
トラ
一般名 | トラ |
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分類 | ネコ目ネコ科 |
下位分類 | ヒョウ属(パンテーラ) |
ペットとして飼えるか | 飼えない |
虎縞で通じる黒い縞模様が特徴のネコ科の動物で、この模様は茂みに隠れる際目立ち難いというメリットがあります。
ネコ科の動物らしく群れを作ることなく単独で生活し夜行性。主にシカやイノシシなどの哺乳類を獲物としています。
水浴びを好み泳ぐのも得意としています。
ユキヒョウ
一般名 | ユキヒョウ |
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分類 | ネコ目ネコ科 |
下位分類 | ヒョウ属(パンテーラ) |
ペットとして飼えるか | 飼えない |
群れを作らず単独で生活していますが、交尾期である1〜5月はオスとメスが一緒に行動します。4〜6月の出産期にはまた単独での生活に戻り、出産と育児にオスは関わらずメスだけで行います。
餌となるのは牛などの偶蹄(ぐうてい)類や、鳥、げっ歯類、ノウサギなど。
寒さに耐えるために長く密生した毛が生えており、特徴的な長くて太い尾で体のバランスを取っています。
ジャガー
一般名 | ジャガー |
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分類 | ネコ目ネコ科 |
下位分類 | ヒョウ属(パンテーラ) |
ペットとして飼えるか | 飼えない |
ネコ科動物の中でも特筆して身体能力が高く、木にも上ることも水に入ることも得意です。
頭が大きくややずんぐりとした体型をしており、ベースとなる淡黄色から黄褐色の毛色に黒色の斑点が置かれ、その周りには同色の輪状の斑が見られます。
主に魚やワニ、アルマジロ、バク、ペッカリーなどを獲物として狩りをしています。
ウンピョウ
一般名 | ウンピョウ |
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分類 | ネコ目ネコ科 |
下位分類 | ヒョウ属(パンテーラ) |
ペットとして飼えるか | 飼えない |
基本的に単独で行動しており、普段は樹上で生活しています。
低地の熱帯雨林から標高2,500mの落葉樹林帯まで、生活のための背の高い樹木があるさまざまな森林に生息しています。
体の斑紋が雲形に見えることから、この名前が付けられました。
ピューマ(クーガー)
一般名 | ピューマ(クーガー) |
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分類 | ネコ目ネコ科 |
下位分類 | ピューマ属 |
ペットとして飼えるか | 飼えない |
基本的に単独で行動し主に小動物や草食動物を狩猟する、北米では最大のネコ科動物です。
視覚、聴覚ともに優れ、運動能力も高く、森林、湿地、高地、半砂漠など様々な環境に生息しています。
その高い身体能力から、スポーツ用品メーカーのロゴに使われるほどです。
チーター
一般名 | チーター |
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分類 | ネコ目ネコ科 |
下位分類 | ピューマ属 |
ペットとして飼えるか | 飼えない |
主に単独で生活しますが、繁殖時期や親離れしたばかりの頃には、数頭の群れをつくることもあります。
陸上で最速の動物として知られており、時速100kmを超える速度で走ります。ただし、その速度を維持できるのは200~300mと限定的です。小さな頭に長い四肢、出たままの爪など、速く走ることに特化した身体の構造をしています。
その分、華奢で力は弱く、ライオンやハイエナに襲われることも。
ネコ科と思われがちな大型動物
混同されがちですが、熊はネコ科の動物ではありません。
熊は『ネコ目クマ科の動物』で、ネコ目ネコ科の猫とは明確に異なる動物ということになります。
ネコ目は別名【食肉目】といい、その名の通り、生き物の肉を食べる肉食の哺乳類です。
つまり、熊は猫と同様食肉目の哺乳類ではあるものの、猫の仲間ではありません。
ちなみに、パンダは熊猫という表記からもわかるように熊の一種ですが、ご存じの通りパンダの主食は笹。肉食ではなく草食ですが、食肉目に分類されています。
最大のネコ科動物は何になるの?
猫という動物だけで見れば小柄なイメージですが、ネコ科全体で見るとかなり巨大な動物も存在します。
例えば大型肉食獣であるライオンや虎を筆頭に、陸上の動物としては最大級といえるでしょう。
では、そんなネコ科の動物の中で最大の動物は何になるのでしょうか。
ネコ科の中で最も大きい動物は【アムールトラ】で、マンシュウトラともアムールトラとも呼ばれます。
大きな個体になると体長が3m、体重は350㎏を超えることもあり、ヒグマよりも大きいといわれています。
最強のネコ科は何になるの?
ネコ科で最強の候補に上がるのは、大型ネコ科動物である虎やライオンでしょう。
候補として最有力なのは、上述したネコ科の中でも最大の体格を持つ『アムールトラ』です。
アムールトラの餌は主にシカやイノシシで、場合によってはツキノワグマやヒグマを相手にすることもあるなど、まさに「最強」と呼ぶに相応しい強さを持っています。
また、力だけでなく運動能力も優れており、一晩で10~40kmを歩き回るほか、泳ぎも得意なので、獲物を狩るために積極的に行動するアクティブな一面があります。
猛獣以外のネコ科たち
ネコ科の動物には、いわゆる猛獣と定義される大型の動物が多いです。
しかし、それ以外にもイエネコと同程度の大きさをした野生のネコ科動物もいます。
サーバル
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サハラ砂漠以南のサバンナにある沼地や川辺など、背の高い草木が茂る草原などに生息しています。
小鳥や中型の鳥、レイヨウなどを獲物としており、単独で狩りをする動物のなかではもっとも成功率が高いと言われるほどです。
外見的な特徴としては、小さな頭に大きな耳。長い四肢とスマートな体型から「サバンナのスーパーモデル」と呼ばれています。
スナネコ
一般名 | スナネコ |
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分類 | ネコ目ネコ科 |
下位分類 | ネコ属 |
ペットとして飼える | 飼えない |
野生ネコで最小級の猫種で、名前の通り砂で覆われた砂漠地域に広く生息しています。
毛の色は砂漠で目立ち難く、灼けた砂の熱から足裏を守るため肉球を覆うように毛が生えているなど、生活環境に適応した身体的特徴を有しています。
メディアで紹介されたことでにわかに注目を集めましたが、法律で禁止こそされていないものの、スナネコは気性が荒く一般のご家庭では生活環境を整えることができないので、ペットとして飼わないようにしましょう。
ベンガルヤマネコ
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一般名 | ベンガルヤマネコ |
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分類 | ネコ目ネコ科 |
下位分類 | ベンガルヤマネコ属 |
ペットとして飼える | 飼えない |
ベンガルヤマネコの餌となるのはネズミやカエル、昆虫、ヘビやトカゲなど。ただし生息範囲が広いため、生息する環境により魚やウサギ、コウモリなどを獲物とする場合もあります。
基本的には夜行性で、日が出ている時間は岩陰や木陰に身を隠し夕暮れ頃から活動を開始し、繁殖期以外は単独行動をします。
外見的には足やしっぽが長く、縦に並んだ黒や褐色の斑点が特徴です。
スナドリネコ
スナドリネコの生息地は、スリランカやインド、インドシナ、マレー半島、スマトラなどに分布しています。
野生のネコ種としては小柄で、大型イエネコと同じか、やや小さい程度の大きさです。
外見的な特徴としては、灰褐色をベースに黒褐色の斑点がある毛色をしており、指には水かきがあります。
ちなみに、名前の『スナドリ』とは、漁をするという意味の言葉『漁(すなど)る』から来ています。
ネコ科とイヌ科の違い
犬と猫は、共にミアキスという動物を祖先に持っています。そこから分化して、現在の猫種と犬種が存在するのです。
共通の祖先を持つ犬と猫ですが、その生態には違いがあります。
ネコ科動物とイヌ科動物の大きな違いとして、『群れる』『群れない』という、社会構造の違いが挙げられるでしょう。
基本的に、ネコ科は単独で狩りを行い育児は母親のみ。一方、イヌ科は群れで行動して狩りと育児は夫婦交代で行います。
このように群れで行動するのがイヌ科の動物で、群れずに単独で行動する傾向があるのがネコ科の動物の特徴です。
まとめ
私たちが一般的に認識している猫種以外にも、ネコ科の動物はさまざまです。
ライオンや虎など、猛獣として知られる動物がまず思い浮かぶと思いますが、それ以外にも小柄な猛獣以外のネコ科動物も多く存在します。
近年猫の人気もさらに高まっていますが、今回の記事を読んで、ネコ科の動物はただかわいいだけではない、中にはペットにできない種類がいることも理解してください。