猫が噛む理由は?噛み癖の対処法も解説

猫の飼い主さんが悩む問題行動の1つに、『噛み癖』があります。

飼い主に噛みつくことも十分問題ですが、他人に噛みついてしまうと大きなトラブルに発展しかねません。

猫の行動は予測できないため、しつけは無意味と考えている方も少なくないでしょう。確かに、犬ほど明確に飼い主のしつけに応えてくれるわけではありませんが、ダメなことはダメとしっかり学習してくれます。

今回は愛猫が大きなトラブルを起こしてしまう前に知っておきたい、噛み癖の対処法について紹介します。

噛む理由って?

猫が噛む

「それまで気持ち良さそうに撫でられていたのに、いきなり噛みつかれた」など、なぜか突然愛猫に噛みつかれた経験はないでしょうか。

しかし、人間からすれば理解不能でも、猫からしたら明確な理由があって噛みつくことがほとんどです。

では、猫はどんなときに噛みついてくるのでしょうか。

スキンシップに対する不快感

猫は気まぐれです。愛猫の方から近寄ってきたから撫でてあげたのに、なぜか「ガブッ」と噛みつかれてしまったという経験をされた飼い主も少ないないでしょう。

「なんで?」と思うかもしれませんが、これはやりすぎが原因です。

最初は撫でてほしくても、適度なところで切り上げないとだんだん嫌になってきて不快になり、噛みつくことで嫌という気持ちを伝えようとします。

しかし、いきなり噛みつくわけではなく、耳をピクピクさせたり嫌そうに身体をよじったり、何かしらの前兆があるので、離れたがっている様子がうかがえたら解放してあげましょう。

遊び足りない

「遊び足りない」「もっと遊んでほしい」と思っているときも、猫は噛みついてくることがあります。

これは攻撃というよりも構ってほしいという気持ちから出た行為で、噛むことで遊びに誘っているのです。

満足するまで遊びに付き合ってあげれば収まりますが、ただ要求に従っているだけでは「噛めば遊んでくれる」と学習してしまうので、同時にしつけもしておきましょう。

力の加減がわかっていない

ペットショップなど身近に仲間がいない状況で育つと、「噛まれると痛い」「噛むと怒られる」という社会性を身につける機会がなく、噛み癖がついてしまいやすくなります。

歯が痒いから

子猫は生後1ヶ月で乳歯が生え揃い、3~6ヶ月の間に永久歯へと生え変わっていきます。

歯が生え変わるこの時期は、歯がムズムズして痒くなるので、その不快な感覚を少しでも抑えようと何かに噛みつくのです。

対策としては、噛んでも良いおもちゃを与えると良いでしょう。
手に噛みつこうとしたら、すかさずおもちゃに噛みつかせてください。

ストレスによる八つ当たり

猫も人間のように八つ当たりをすることがあります。

恐怖からパニックになったりイライラが抑えられなかったりすると、何かに噛みつくことでそうした気持ちを抑えようするのですが、これを「転嫁行動」といいます。

身に覚えがなく、特に理由もわからないまま嚙まれた場合は、何らかの理由で感じたストレスを八つ当たりすることで解消しようとしているのかもしれません。

猫の本能

肉食動物である猫には、狩猟本能が備わっています。

猫の遊びは、噛む、引っかくなど獲物を狩る行動の延長線上にあるため、飼い主を獲物に見立てて、本能的に噛みつくことがあるのです。

猫のおもちゃの代表ともいえる猫じゃらしのように、ひらひら動くものに飛びつくのも、こうした本能的な行動から来る遊びといえます。

病気やケガが原因の場合も

病気やケガで体に痛みを抱えている場合、患部に触れられたことで反射的に噛みついてくることがあります。場合によっては、触れていなくても触れさせないよう威嚇として噛むことも。

外から見えるケガであれば分かりやすいですが、骨折や皮膚炎など外からでは確認しづらい病気やケガが原因の場合もあるので、気になる場合は一度診察してもらうと良いでしょう。

噛み癖が治らない!どうすれば?

最初は遊びであったり、何かしらの抵抗で噛みついていたとしても、それが繰り返されると癖となって定着してしまう場合があります。

そして、一度癖になってしまうと、時間をかけて根気強くしつけなければならず、簡単には直りません。

では、飼い主としてどんな行動を取るのが正解なのでしょうか。

猫の行動から噛む予兆を察する

噛まれる側が「猫が突然噛んできた」と思っていても、実際は猫が噛みつく前に必ず前兆があります。

例えば撫でていたり一緒に遊んでいたりして、以下の様な変化があったら噛みついてくる一歩手前なので、警戒してください。

  • 撫でているときに激しく手を舐めてくる
  • 目の瞳孔が開いて黒目がちになる
  • 獲物に飛びかかる姿勢を取る
  • しっぽを左右に大きく振る

噛み癖のしつけ方

手を噛まれた場合、思わず手を引っ込めてしまいがちですが、実はこれNG行動です。

猫は引っ込めようとした手に反応して、振りほどかれないようより強い力で噛みつき、歯が喰い込んできます。

これは動きに対応しているのではなく、猫側も反射的な行動をしているので、注意したり叱ったりしても止めさせることは難しでしょう。

そのため、噛まれたら手を引くのではなくあえて手を押し込んでみてください。噛む力が入らなくなるので、口を離してくれることもあります。

おもちゃでストレス発散

噛みついてくる原因にもよりますが、ストレスを発散させることで、噛みつく回数を
減らすことができます。

上述したように、噛みつくという攻撃的な行為は、猫の狩猟本能から来ている場合があります。

また、噛みつくのは遊びの延長上にあるため、噛んでも大丈夫なおもちゃを与えたり一緒に遊んでストレスを発散させたりすることができれば、ほかに攻撃性を向けることが少なくるでしょう。

特に子猫の時期に噛むことを遊びと覚えてしまうと、成長しても噛み癖として残ってしまいかねません。なるべく早い時期にしつけて止めさせてください。

こんなしつけ方はNG

しつけることで、猫にやってはいけないことを覚えさせるのは重要ですが、大声を出したり叩いたり、猫を怯えさせてしまうようなしつけはNGです。

こうしたしつけにより力づくで従わせたとしても飼い主を怖がるようになり、信頼関係を崩すことになってしまいます。その場では行為を止めたとしても、問題行動がかえってひどくなるかもしれません。

また時間を置いてから叱るのもNG行動です。
噛みついたその場ですぐ叱らないと、猫は何について叱られているのか理解できず、混乱させてしまうことになり、効果がありません。

猫に噛まれてしまったら

猫の口腔内は雑菌だらけなので、例え僅かな傷であっても噛みつかれてそのまま放置するのは危険です。

傷口から雑菌が入り込んで化膿するだけでなく、猫から人間に感染する【人畜共通感染症(ズーノーシス)】になってしまう可能性も否定できません。

噛まれたら、流水ですぐに傷口を洗って清潔な状態を保ち手当してください。

数日経っても痛みが引かなかったり傷が深かったり、何らかの症状が現れたらためらわずに病院で診察してもらいましょう。

まとめ

自由奔放で勝手気まま。
猫の行動は人間には予測もコントロールもできないと考えがちですが、猫には猫の理由があって行動しています。

「何もしていないのに突然噛まれた」と思っても、実は猫が嫌がる行動をしている可能性が少なくありません。

猫の思考を完全に理解することはできませんが、猫の立場で考えてみると、どんなことをすると嫌がられるのか意外と分かるものです。

今回の内容を参考に、愛猫に噛み癖がつかないよう日頃の接し方を見直してみてはいかがでしょうか。

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