長いものや短いもの、かぎ状になっているものなど、猫のしっぽにはさまざまな種類があります。
犬のしっぽは感情を表現することで知られていますが、では猫のしっぽにはどのような役割があり、どんな動きをするのでしょうか。
猫のしっぽは気持ちを表している?
人間には存在しないしっぽは、猫にとってとても重要な体の部位です。
犬のように感情表現をするだけでなく、猫の高い身体機能を担うなど、さまざまな役割があります。
感情表現としての役割
猫のしっぽには、感情表現の役割があります。
猫のしっぽはとても感情表現豊かで、感情に合わせていろいろな動きをします。
動きの意味を知ることで、しっぽから感情を読み取ることができるでしょう。
感情表現以外にも大切な役割がある
猫のしっぽには、感情表現の手段以外にも大切な役割があります。
その1つが、身体のバランスを保つためのバランサーとしての役割です。
柵の上や狭い塀の上を軽々と走るなど、猫のバランス感覚が非常に優れていることはご存じでしょう。このバランス感覚は、しっぽがあるからこそ成り立っているのです。
猫の優れたバランス感覚や素早い動きは、しっぽを振って全身をコントロールしていることで成り立っています。
もう1つの役割が防寒です。
猫は寒さに弱い動物なので、寒いと丸まって顔をマフラーのように覆って、寒さに耐えようとします。
このほか、縄張りを主張するために自分のにおいをつける『マーキング』のためにしっぽを使うこともあります。猫のしっぽには【臭腺】という器官があり、こすりつけることでにおいをつけるのです。
しっぽを振るのはどんなとき?動きで感情が分かる?
犬のしっぽは感情が現れる部位として有名ですが、猫のしっぽも感情豊かなことをご存じでしょうか。
ここでは、猫のしっぽがどんな感情のときにどんな動きをするのか解説します。
①しっぽをくねくねさせているとき
猫がしっぽをくねくねさせているときは、好奇心を刺激されてワクワクしているのかもしれません。また、リラックスしてくつろいでいるときも、気分良さそうにくねらせていることがあります。
②しっぽが膨らむ、太くなるとき
基本的に、猫のしっぽが膨らんで太くなっている状態は、マイナスの感情の場合が多いです。
例えば、しっぽを膨らませて威嚇の声をあげているようなら、完全に怒っている状態です。
また、低い姿勢でしっぽを膨らませている場合は、恐怖を感じているかもしれません。
他にも、何かに驚いたときは反射的にしっぽが大きく膨らんでしまうこともあります。
③しっぽをピンと立てるとき
しっぽをピンと立てている状態は、甘えたくて自分の存在をアピールしているときです。
これは、「撫でてほしい」「構ってほしい」という以外に、ご飯が食べたいといった場合も同じ状態になります。
加えて、しっぽの先端が小さく震えているようなら、機嫌が良い状態です。
④しっぽを下げているとき
力なくしっぽを下げている場合は、何かを失敗したり叱られたりしたことで、しょんぼりしている状態です。
ただし、いつも力なく垂れているようなら体調を崩している可能性があるので、一度診察してもらった方が良いかもしれません
⑤しっぽを激しく動かしているとき
しっぽが落ち着きなくパタパタ動いているようなら、機嫌が悪くイライラしている状態です。人間でいえば、貧乏ゆすりをしたり指を動かしたりしている場合に近いでしょう。
この状態の時、下手に構うと余計機嫌を悪くするだけなので、基本は落ち着くまで放っておくのが一番です。
⑥しっぽをゆっくり振っているとき
しっぽをゆっくり揺れているように振っている場合は、リラックスしている状態です。何かをじっと見つめて振っているようなら、見詰めている対象に興味を持った証になります。
ひとりでいることに気分を良くしているので、この状態の時はあまり構わないようにしましょう。
⑦しっぽの先をピクピクさせているとき
しっぽの先だけが軽く動いている状態は、考えごとなど何かに集中しています。また、動くのが面倒なときに名前を呼ばれると、しっぽの先端だけを動かして返事の代わりにすることも。
しっぽがこのような状態のときは、あまり構わないであげましょう。
⑧座りながらパタパタ上下に動かしているとき
しっぽをゆっくりと上下に動かしているようなら、考えごとをしているのでしょう。
大人になると見られる行動で、子猫の場合は考えずに行動することが多いので、あまりこの動きはしないようです。
⑨座りながらしっぽを巻き付けているとき
猫が座っている状態で、前足を隠すようにしっぽをくるりと体に巻き付けている場合は、リラックスしているときです。
こんな状態のときは、下手に構うと機嫌を損ねてしまうので、そっとしておいたほうが良いでしょう。
⑩しっぽを立てて小刻みに震わせているとき
立てたしっぽを小刻みに震わせている場合、嬉しくて興奮しています。
そのまま近寄ってくるようなら、構ってほしいのかもしれません。
⑪しっぽを後ろ足の間に巻き込んでいるとき
猫がしっぽを後ろ足の間に挟むように巻き込んでいるのは、何かしらの恐怖を感じて怯えているサインです。
例えば、自分よりも強い猫と対峙したときなど、降参の意味を込めて体を少しでも小さく見せようとしています。
⑫山を描くようにしっぽを振っているとき
猫の臨戦態勢で、「これ以上、近づくな」とある種の威嚇をしている状態です。
むやみに近づくと攻撃してくるので、近づくのはやめましょう。
⑬寝ているときにしっぽの先を小さく振っているとき
寝ているときに名前を呼ぶと、起きて反応するのが面倒で、寝たまましっぽの先端を小さく振ります。つまり、猫にとってこれは返事の代わりです。
⑭抱っこしたときにしっぽを自分のお腹にくっつける
猫を抱っこすれば、必然的にお腹が露わになります。その状態でお腹にしっぽをつけるということは、剥き出しになったお腹=弱点をかばっているのでしょう。
つまり、お腹が攻撃されることを怖がっていると考えられます。
⑮抱っこしたときしっぽを激しく振る
抱っこしたときにしっぽを激しく振るようなら、抱っこされることを嫌がって抵抗しています。
しっぽを触るのはNG?
猫を体現するかのように気ままに動き存在感をアピールするしっぽは、猫好きでなくとも
思わず触りたくなってしまうもの。
しかし、猫のしっぽは人間が思っている以上にデリケートな部位なので、むやみに触るのは良くありません。
猫のしっぽはデリケートなのでむやみに触らない
猫の長いしっぽは鞭のようにしなやかに動きますが、その動きを司っているのが【尾骨神経】と呼ばれる神経です。尾骨神経は重要な神経とつながっているためとてもデリケートで、猫はむやみに触られることを好みません。
誤って踏みつけケガをさせてしまうと、場合によっては足に障害が残り歩けなくこともあるので、愛猫のしっぽの扱いには注意を払いましょう。
しっぽの付け根は大丈夫?
上述したように猫のしっぽはとても敏感な部分ですが、しっぽの付け根をとんとん撫でてあげると、腰を上げて喜んでくれます。
この部位には猫がフェロモンを出す分泌腺があり、しっぽを撫でられるというよりは、そこを触られることを喜んでいるようです。
同様に、頬や顎にもフェロモンの分泌腺があるため、触ると喜んでもらえるでしょう。
ただし、しっぽの付け根は重要な神経が集まっている場所なので、触れる場合は力を入れすぎないようほどほどにしましょう。
まとめ
しっぽは、猫の感情がよく表れる部位であるとともに、からだを温めたりバランスを取ったり、さまざまな役割を担う重要な部位になります。
しなやかで器用な分とてもデリケートな部分なので、基本的に触られることを嫌がる部分です。
今回の記事を読んで、猫のしっぽの動きからなぜそんな動きをしているのか理解してあげてください。