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ワクチンは絶対必要なの?

猫のワクチンは【3種混合ワクチン】【5種混合ワクチン】【猫エイズワクチン】の3種類。3種混合ワクチンはコアワクチンとも呼ばれ、致死率と感染力が高い病気を予防するためのワクチンになります。5種混合ワクチンは、3種混合ワクチンに他2種類のワクチンを加えたものです。猫エイズワクチンは従来の混合ワクチンには含まれておらず、単独で接種する必要があるワクチンです。
記事の監修:獣医師・ライター 平松育子
山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。皮ふ科と内科、予防医療に注力する。 日本獣医がん学会、日本獣医皮膚科学会所属。

2023年にふくふく動物病院を閉業し「アイビー・ペットライティング」を立ち上げ。 ライターというかたちで、生涯飼い主さまやペットたちとつながっていきたいと思います。 (アイビー・ペットライティング 代表)

子猫のワクチンは何のために打つの?

猫が感染する恐れがある病気の中には最悪死に至る恐れがあるものもあるため、予防のためにワクチン接種は必要不可欠です。

生まれてしばらくは、母親の初乳を飲んで得た「母子免疫」に守られています。
しかし、生後2~3ヶ月頃になると次第にその免疫効果が弱くなり、伝染病や感染症などの病気を発症するリスクが高くなるため、ワクチン接種が必要となるのです。

これは子猫に限った話ではありません。
猫が感染する恐れがある病気を予防するためにも他の猫に病気を移さないためにも、ワクチン接種は飼い主の義務であるといえるでしょう。

ワクチンの種類

猫に接種するワクチンは、大きく分けて【コアワクチン】と【ノンコアワクチン】の2種類が存在します。

コアワクチン(3種混合ワクチン)とは、致死率が高く、伝染性が高い病気を予防するためのワクチンのことで、猫の場合

  • 猫汎白血球減少症(猫のパルボウイルス感染症)
  • 猫ウイルス性鼻気管炎
  • 猫カリシウイルス感染症
が対象の病気にあたります。

一方、ノンコアワクチンとは月齢や生活環境、住んでいる地域により感染する確率が変動する病気を予防するワクチンです。対象となる病気には
  • 猫白血病ウイルス感染症(FeLV)
  • 猫クラミジア感染症
があります。

また混合ワクチンには含まれませんが、【猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)】を予防する「猫エイズワクチン」もあります。

絶対に打たないといけないの?

上述したように、ワクチンは愛猫を感染症から守るために、他の子に移さないために必要といえます。
しかし犬の狂犬病ワクチンのように義務付けられているわけではなく、接種するかどうかはあくまでも飼い主の任意です。

とはいえ、ワクチンで予防できる病気に感染すると最悪死に至ることを考えると、大切な家族を守るために接種が強く推奨されています。

いつ何回打つの?値段は?

生後4ヶ月未満であれば、コアワクチンは生後2ヶ月目に1回目を接種します。以後、約1ヶ月の間を開けて2回目を接種、月齢などによってはさらに1ヶ月後に3回目の接種を行います。
一方で生後4ヶ月以上の場合は可能な限り早い時期に初回接種をし、約1ヶ月後に2回目の接種となります。

その後は最後の接種から1年に1回のペースで、ワクチンを追加接種していきます。
※追加接種のペースは病院の方針や考え方のほか、猫の体調や年齢などの条件によっても異なります。

ワクチンの料金は動物病院によって異なりますが、概ね以下の金額が一般的な相場となっています。

3種ワクチン 3,000~5,000円
5種ワクチン 5,000~8,000円
猫エイズワクチン 4,000~6,000円

ワクチンが必要な病気とは?

3種混合ワクチン(コアワクチン)で予防ができる病気

致死率が高く感染力が強い病気を予防するワクチンが【コアワクチン】です。

コアワクチンの対象となる病気は【猫汎白血球減少症(猫のパルボウイルス感染症)】【猫ウイルス性鼻気管炎】【猫カリシウイルス感染症】の3種類。では、それぞれどんな病気なのでしょうか。

猫汎白血球減少症(猫パルボウイルス感染症)

ウイルスに感染している猫の便などに含まれるウイルスを、口や鼻から取り込むことで感染する病気です。

発症すると白血球系の細胞(好中球、リンパ球、単球など)が減り、最悪死に至ります。免疫が弱い子猫や老猫の場合は死亡率がかなり高いので、特に注意が必要です。
食欲低下や嘔吐、激しい下痢など消化器系に症状が見られますが、感染してもほとんど症状が見られない場合もあります。

猫ウイルス性鼻気管炎

ウイルスに感染した猫のくしゃみや分泌液などから感染する病気です。

発症すると、3~4日で急速に元気・食欲がなくなり、発熱や結膜炎などの症状が現れます。重症化すると食欲低下から急激な衰弱や脱水症状に陥り、子猫や高齢の猫など免疫力が弱い猫の場合、肺炎を引き起こすことも。
そのほか、涙や目やにが増えたり、鼻などにヘルペス性皮膚炎を発症する場合もあります。

猫カリシウイルス感染症

ウイルス性鼻気管炎に似た様々な症状を引き起こす病気で、一般的には「猫風邪」や「猫インフルエンザ」と呼ばれています。接触感染や、ウイルスに感染した猫のくしゃみなどから空気感染して引き起こされます。

この病気は、舌や口腔の上側に水疱や潰瘍ができるのが特徴的です。その他よく見られる症状には発熱、元気・食欲の低下などがあります。他にも多様な症状が見られ、涙や鼻水、結膜炎、肺炎などが挙げられます。
通常およそ2週間以内には回復しますが、場合によって激しい肺炎の後死亡するケースもあります。

またこのウイルスは、保菌状態にありながら症状が出ない状態(キャリア)になることで、他の猫への感染源となる場合があります。

5種混合ワクチンで予防ができる病気

【5種混合ワクチン】では、コアワクチンの3種に加え、次のような感染症を予防する効果が期待できます。

猫クラミジア感染症

クラミジアという、細菌でもウイルスでもない病原体によって感染する猫風邪の一種です。
目や鼻から体内に侵入し、感染して2~5日で、粘ついた目やにを伴う結膜炎やまぶたのけいれんなどの症状が現れます。

感染力が強い病気で、体力の落ちた状態だと他の感染症を併発しやすく、グルーミングなど猫同士の接触によって感染するので注意が必要です。


猫白血病ウイルス感染症

猫白血病ウイルス(FeLV)に感染することで発症する病気です。
FeLV感染猫とのケンカによる咬傷感染や、グルーミングや食器の共有による唾液を介しての感染、母子感染(垂直感染)などが感染経路になります。

「白血病」という名前がついていますが、貧血や免疫不全、リンパ腫、腎臓病などを発症することも。

免疫力が低い子猫が感染した場合、高い確率で感染した病原体が体内から排除されずに残る状態になります(持続感染)。その場合は、3~4年以内に死亡することが珍しくありません。

猫エイズワクチン

猫エイズは、猫免疫不全ウイルスに感染することで免疫力が低下する病気です。

徐々に全身の免疫機能が低下し、リンパ節が腫れる、下痢、病気やケガが治りにくいなどの症状が現れます。また口内炎も猫エイズの症状の中でよく見られる症状です。
最終的には顕著な全身の機能低下や免疫不全が見られるようになり、改善しないまま死に至ります。

このウイルスは感染しても症状が出ないことがあり、感染してもそのまま天寿をまっとうするというケースも少なくありません。しかしそのように保菌されたまま症状が出ない状態(キャリア)になると、逆にいつ発症してもおかしくありませんし、他の猫への感染源にもなってしまいます。

そのためワクチンでしっかりと予防することが大切です。