【スナネコ】という砂漠地域に生息する小型の猫をご存じでしょうか。
『砂漠の天使』と呼ばれるほど愛らしい姿は、テレビ番組で紹介されるとたちまち話題になるほどでした。
本記事では、そんな希少性とかわいらしさが同居するスナネコについて解説します。
スナネコって?
スナネコは、アフリカなどの乾燥した砂漠地域に生息する世界最小クラスの野生ネコです。
特徴的なかわいらしさから、『砂漠の天使』という異名を持つ猫種になります。
スナネコの大きさ
スナネコの大きさは体重約2~3㎏、体長約39~57cm程度と、日本で見られる一般的な猫と比べかなり軽く小さな猫種です。
しっぽの長さも20cmと短めで、一般的な猫のしっぽの長さである30cmと比べるとこちらも小型サイズということがわかります。
スナネコの特徴
小さく愛らしい見た目から『砂漠の天使』といわれるスナネコですが、生息地域の環境に適応するための機能など、ほかの猫種にはない特徴を持っています。
例えば、毛色は砂漠で見つかりにくい『灰黄色(はいこうしょく)』と呼ばれる背中部分が明るい灰色がかった黄色です。そこには青白い線が走っており、しっぽは先端にいくに従い黒くなっていき、黒い輪っか模様が入っています。
また、耳道に砂が入るのを防ぐため、耳の内側には長い毛が生えているほか、足裏にも長い毛が生えており、灼けた砂の上を歩いても火傷をしないようになっているなど、環境に適応した特徴が見られます。
スナネコの生態
スナネコは名前の通り砂で覆われた砂漠地域に生息する猫種で、砂漠という過酷な環境下で活動するため独特な行動が見られます。
例えば、気温が高い日中はリスクが高いため、活動するのは日が落ちた夜間。
元々、ネコ科の動物は夜行性ですが、日中は巣穴や岩陰に身をひそめ、暑さや外敵から身を守るため基本的に行動することはありません。
スナネコはペットとしてはおすすめできない
かわいい動物を飼いたいと思うのは、動物好きであれば当然のこと。しかし、そうした人間の欲求よりも動物の都合を優先する必要があります。
結論から言えば、スナネコはペットとして飼うのには向かない動物です。
ここでは、スナネコのどんな点がペットとして飼育することにおすすめできないのか、その理由を紹介していきます。
飼い猫には向かない野性味のある性格
スナネコはとてもおとなしく、かなり臆病な性格をしています。
野性味が強く人間にも慣れていないため、人に懐くことはなく飼い猫としては不向きな性格といえるでしょう。
また、気性の荒さもあり、仮に飼ったとしてもいわゆるペットとして人間が期待するような関係性を築くことは難しいです。
一般家庭で生活環境を整えるのは難しい
上述したように、スナネコは砂漠という特殊な環境に生息しています。
例えば動物園であれば、生息地に近い環境をある程度作り出すことは可能ですが、家の中で飼うのであればそれも難しいでしょう。
環境が用意できない状態で飼うと、スナネコの本能的な欲求を満たすことが難しくなるので、大きなストレスを与えることになってしまいます。
また、スナネコの生息地は湿度が低く乾燥した土地です。
日本のような高温多湿な環境は暮らしにくいだけでなく、感染症にかかりやすくなってしまいます。
こうしたことを考えると、日本の一般家庭ではスナネコを飼うのに向いていないといえるでしょう。
ペット取引によって絶滅の危機に瀕する可能性が大きい
スナネコは絶滅に瀕した猫種として、レッドリストに登録されています。
生息地の減少や食料となる獲物の激減、さらには戦争や地下核実験が原因で、スナネコが生きていくための環境が破壊されたことが大きな理由です。
事実、イエメンやイスラエルなどの地域では、環境の変化に適応できず、ある時期を境に生息した記録がなくなったため、絶滅したと考えられています。
スナネコは、ワシントン条約で規制対象となる特定動物には指定こそされていないため、輸入をすること自体は可能です。
しかし、生活環境が違いすぎる日本で飼うということは、絶滅危惧種の命を危険に晒すことになります。
まとめ
テレビ番組で取り上げられたことで、その圧倒的なかわいらしさが広く知られるようになったスナネコ。
「飼ってみたい」と思った方も多いと思いますが、絶滅危惧種に指定される動物で、その扱いには慎重さが求められます。
そうでなくても、砂漠という乾燥した地域で生息している動物なので、高温多湿な日本の環境でスナネコを飼うことはおすすめできません。
現在、日本国内では那須どうぶつ王国と神戸どうぶつ王国でその愛らしい姿を見ることができるので、飼うのではなくそちらに会いに行ってみてはいかがでしょうか。