「猫のひげ」と聞くと、口元に生えた立派なひげを思い浮かべることでしょう。
猫のひげは単に飾りではなく、重要な役割を担っているのはご存知ですか。ここでは、猫のひげの役割から抑えておきたいポイント、ひげでわかる猫の気持ちについて解説していきます。
猫のひげについて知ることで、もっと猫との距離が近づくかもしれませんよ。ぜひ参考になさってくださいね。
猫のひげの役割とは?
猫のひげは、口や鼻の横に生えていますよね。実は猫のひげはそれだけではなく、目の上や頬、顎の箇所にも生えており、口まわり以外の毛もひげの一部といわれています。
ここでは、猫のひげの役割についてご紹介します。
平衡感覚を補うため
猫に限らず、動物のひげは周りの建物などを感知したり、平衡感覚を補ったりする重要な役割を持っています。
なかでも猫のひげは感覚が研ぎ澄まされてり、わずかな空気の動きでも瞬時に察知します。また動くもの対してまるでレーダーのように敏感に反応し、敵が近くに現れるとすぐさま警戒態勢に入ります。
さらに猫は夜行性動物ですので、薄暗い場所でなにかを探る際もひげを使います。
猫にとってひげは生きていくための重要なバロメーターといえそうです。
通れる場所か判断するため
猫のひげをよく見ると、顔まわりに円を描くように生えています。狭い場所を通るときはひげを広げて顔を入れ、ひげが当たらないか確認をします。
このとき、ひげが当たらなければ体も通ることができると判断します。
食べ物や獲物を察知するため
猫は耳や鼻だけではなく、ひげで獲物のニオイや音、わずかな振動でさえもキャッチすることができるそうです。
またひげで獲物に触れた瞬間、獲物の生死を確かめることもあるそうですよ。
目を守るため
猫のひげは、神経回路の1つである「反射弓」がまぶたと繋がっています。それにより、顔の近くで何かしら刺激を感じると、素早くまぶたを閉じて目を守ることができるのです。
また小さなゴミや虫などを吸着することができ、目に入るものを防ぐ役割を担っているそうです。
ひげの種類
猫のひげは「触毛」とも呼ばれ、5種類存在します。
①眉上毛:目の上に生えている長いひげのこと
②頬骨毛:目の横下と頬骨の上あたりにあるひげのこと、生えていない猫もいる
③上唇毛:トレードマークでもある「猫ひげ」と呼ばれるひげのこと
④下唇毛:顎に生えている短めのひげのこと
⑤口角毛:上唇毛の上に少しだけ生えるひげのこと
ひげの根本にはたくさんの神経が張り巡らされ、人間にはない感覚器官を持ち合わせているといわれています。
またその感度は、私たち人の毛幅のわずか1/2000ほどの動きでさえ察知できるそうですよ。
猫のひげで感情はわかる?
猫のひげは自分の身を守るだけではなく、感情を表す1つのツールともいわれています。そのため、猫のひげを見れば気持ちを判断できるといっても過言ではありません。
ここでは、猫のひげでわかる3つの感情について見ていきましょう。
自然に垂れているとき
猫のひげが自然と垂れ下がっているときは「平常心」「眠たい」「リラックスしている」という気持ちの表れだといわれています。
またいたずらをして飼い主に叱られたときも、ひげが下に向くこともあります。これは反省の気持ちを表していますので、許してあげてくださいね。
頬にピッタリと沿っているとき
猫は大きな音が苦手ですので、掃除機の音やドアを力強く閉める音を聞くだけで、ひげが頬にピッタリ沿うことがあります。
これは「怖い」「緊張・警戒している」気持ちの表れであり、音以外にもほかの猫に攻撃されそうなときや、自分から相手に攻撃するときなどにも見られます。
また人に対してひげが後ろを向いているときは「近づかないで」「止めて」という合図ですので、落ち着くまでそっとしといてあげましょう。
前に出ているとき
猫のひげが前に出ているときは「ワクワクしている」「遊びたい」「緊張している」などの気持ちの表れです。
ほかの猫と追いかけっこしているときや、おもちゃに向かって飛び掛かろうとしていると、ひげが前に向いていることはありませんか。
そのようなときは、遊びに夢中で楽しんでいる表れといえるでしょう。
ひげは増えたり抜けたりするの?
猫にとって大事な役割を担う「ひげ」は、私たちの髪の毛のように定期的に抜け替わります。個体差はありますが、半年に1回の頻度で数本抜け、新しいひげが生えてきます。
そのため、ひげが抜けても0本になることはありませんし、自然に抜けるのであれば健康な証拠ですので何ら問題はないといえるでしょう。
しかし、猫は環境の変化に弱い生き物なので、少しの変化でストレスを感じてしまうことがあります。またストレスが原因で病気に繋がり、ひげが抜け落ちることもあるようです。
いつもと様子がおかしなと感じたらすぐにその原因を見つけ、場合によってはかかりつけの動物病院に診てもらうようにしてくださいね。
ひげは切っても良い?
猫のひげは絶対に切ってはいけません。
猫はひげがあることで、空気の流れを読み取ることができます。だからこそ、暗闇の中でも障害物を把握しながら歩くことができるのです。また、ひげの1本1本に神経が集中しているため、万が一切ってしまうとそれが原因で歩けなくなってしまいます。
小さなお子さんがいるご家庭は、お子さんの手の届くところにハサミなどを置かないように気を付けてくださいね。
ひげが曲がっているのはなぜ?
猫のひげをよく見てみると、なだらかなカーブで曲がっていたり、ちぢれていたりすることがあります。
本来猫のひげは真っすぐ伸びているのですが、なぜ曲がってしまっているのでしょうか。
無理やり狭い場所に入ったのかも
前述でもお伝えした通り、猫はひげで自分の体が通れるか判断をします。いわば猫にとってひげは「センサー」のような役割を果たしているのです。
しかし猫はそのセンサーを無視し、無理やり狭い場所に顔を突っ込んでしまうことがあります。
そして狭い隙間に顔を入れて無理やり出ようとした結果、ひげが曲がってしまう原因に繋がるのです。
猫は同じ行動を何度も繰り返す傾向にあります。そのため、同じ場所に顔を突っ込んでは出してを繰り返すうちにちぢれてしまうことも。猫が通りそうな狭い場所を見つけたら、通れないようにしてしまうのがよいでしょう。
寝癖かも
猫は寝るとき、ひげを倒して休みます。そのため、寝ている間に曲がってしまうことがあるそうです。
もしも愛猫がひげを倒して寝ていたら、そっとひげを戻してあげるとよいでしょう。
熱でちぢれてしまったのかも
猫のひげが曲がるのは冬が多いといわれ、そんお原因の1つが暖房器具といわれています。
猫は寒がりなのでストーブやこたつ、エアコンなどの当たる場所からジッと動きません。そのため温熱がひげに直面し、ひげが曲がったりちぢれたりしてしまうのです。
また誤って火元に近づいてひげが焼けたり、縮れたりすることもありますので、猫が暖房器具に近づきすぎないように注意してくださいね。
ストレスが原因かも
猫のひげは気持ちを表す1つのツールでもありますが、どうやらストレスも感じ取るようです。
ストレスが原因で曲がる、折れる、切れるといったことがあるそうなので、原因を早急に見つけ改善するように努めましょう。
生まれつき曲がっている子も
猫は必ずしもひげが真っすぐ生えてくるとは限りません。
なかには品種や個体差によって、生まれつきひげが曲がっている子も存在します。
例えば、デボンレックスやコーニッシュレックスなどは生まれつきひげが曲がっている代表的な猫種です。
また生まれたときは真っすぐであっても、環境の変化や年齢などで突然ひげが曲がってしまったということもあるそうです。
まとめ
猫のひげは自信の身を守る役割だけではなく、気持ちを表現する役割まで果たしていることがわかりました。
また猫のひげは体毛のように頻繁に抜けることはありません。半年に1回のペースで自然に抜けるようになっています。しかし、ストレスや病気などから抜けやすくなることもありますので、猫の体調管理を怠らないようにしましょう。
そして絶対に猫の毛は切ってはいけません。頭の片隅に入れておいてくださいね。
また豆知識として「ネコノヒゲ」と呼ばれるシソ科の植物があります。ピンと長く伸びたおしべとめしべは、名前の通り猫のひげそのものといえます。興味がある方は、ぜひ検索してみてくださいね。