人見知りで大人しい性格のエジプシャンマウですが、運動能力が高く、チーターに似た身体能力を持った猫といわれています。
また模様は個性的なスポットと呼ばれるしま模様と、「グースベリーグリーン」と呼ばれる独特な緑色をしています。
ここではそんなエジプシャンマウについて性格や特徴を始め、色や体重、飼い方の注意点についてご紹介したいと思います。
エジプシャンマウの性格や特徴について
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エジプシャンマウは「エジプトの猫」と訳され、古代エジプトの壁画に出てくる猫と特徴が大変似ていることで有名です。
一説には「古代エジプトのファラオ時代から人と生活しているのでは?」「クレオパトラのひざの上で眠っていたのでは?」などといわれていますが、事実かどうかは定かではありません。
いずれにしても、エジプトでエジプシャンマウの先祖が発見されたのは事実なようです。
大人しくて繊細?多頭飼いには向いてない?
エジプシャンマウは2面性がある猫といわれています。
神経質で警戒心が強く、静かに過ごしたい傾向にあるため、家族以外の人間や他の動物との共同生活を苦手とします。そのため、多頭飼いや他の動物との生活は向いていないといえるでしょう。
また小さい子どもが騒いだり、ちょっかいだされたりするのを嫌う傾向にあります。
その一方で、飼い主に対しては甘えん坊な一面があります。遊ぶことが大好きで、活発に動き回ることが多く、一緒に遊んであげると大変喜びます。特に高いところを好む傾向があるので、キャットタワーなどを設置してあげるとよいでしょう。
エジプシャンマウの歴史
エジプシャンマウの歴史は古く、起源は紀元前1500年頃まで遡るといわれています。
古代エジプトの壁画などに大変よく似た猫がいたことから、さまざまな憶測が飛び交っていますが実際のところ定かではありません。
1953年頃、小さな頭とすらっとした体型、独特の模様がよく似た猫がエジプトのカイロで発見されました。その猫は後にイタリアで繁殖、改良され、1954年頃アメリカに持ち込まれました。
一説によるとイタリアで繁殖し、アメリカに持ち込んだ人物はロシア王女である「ナタリヤ・トルベツコイ」と伝えられていますが、その人物の存在ははっきりとされていません。
唯一いえることは、ヨーロッパで繁殖し、アメリカに持ち込んで猫種として確立させ、キャットショーに出陳するほどこの猫をこよなく愛した人物がその名前だったということです。
どちらにしても、アメリカに持ち込まれ洗練されたエジプシャンマウは、1965年に猫血統登録団CFAに登録され、公認猫として認められました。
ちなみに原産国はエジプトとされていますが、正式な品種として確立されたのがアメリカのため、アメリカ原産と表記する場合もあるそうです。
エジプシャンマウの毛色や模様の種類は?
エジプシャンマウといえば、なんといっても被毛の斑点模様が最大の特徴といえるのではないでしょうか。斑点模様の猫種の中で唯一、自然固定主とされているのもエジプシャンマウといわれています。
シルクのような光沢と、動くたびに表情を変える被毛は大変美しく、多くの愛猫家を魅了させています。
細身で機敏な動きをする姿はどこか野性味を感じさせますが、丸みのあるくさび型の輪郭に、大きくて少し目尻が下がり気味の瞳がソフトな印象を与えます。
またエジプシャンマウの斑点は「スポテッドタビー」(斑点系のしま模様)ですが、同じような斑点を持つオシキャットやベンガルとは違い、自然発生によって生まれた斑点とされています。
このスポット模様は、被毛だけではなく地肌にも入っているのがエジプシャンマウの特徴ともいえるでしょう。
エジプシャンマウの主な毛色①「シルバー」
天然色の薄いシルバーに、消炭色(けしずみいろ)の斑点模様があります。
内側にあるふわふわとした綿毛であるアンダーコートは、ホワイト(白色)または薄いシルバー(銀色)です。
エジプシャンマウの主な毛色②「ブロンズ」
灰色と黄色などの様々な色が混じった絶妙な色のブロンズをベースに、濃いブラック(黒色)やブラウン(茶色)の斑点が見受けられます。
内側に生えているアンダーコートは、あたたかみのあるブラウン(茶色)です。
エジプシャンマウの主な毛色③「スモーク」
地色は薄いシルバー(銀色)ですが、全体の毛先はブラック(黒色)でディップされ、斑点模様とマーキングが漆黒でくっきりとしています。
内側のアンダーコートは、ホワイト(白色)または薄いシルバー(銀色)です。
上記3タイプの毛色の他にも、ブラックやブルーの毛色をしたエジプシャンマウが存在しますが、残念ながら猫血統登録団CFAでは公認されていません。
エジプシャンマウの抜け毛は多い?
エジプシャンマウは、アンダーコートとオーバーコートの2種類の被毛が生えたダブルコートです。
毛の密度は高いですが、短毛種でもあるため抜け毛の量としては中程度といえるでしょう。
そのため、普段のケアは1日1回程度やさしくブラッシングをしてあげてください。定期的に抜け毛を取り除くことでシルクのような美しい毛並みを維持することができますよ。
ただし、換毛期である春と秋では抜け毛の量が増えます。この時期は特に丁寧なブラッシングを心掛けてあげてくださいね。
エジプシャンマウの目の色は?
大きなアーモンド形の目は「グースベリーグリーン」と呼ばれ、透き通った淡いグリーンの瞳をしています。
エジプシャンマウの場合、目の色はこのグースベリーグリーンのみとされており、ブルーはいません。
また頭は小さいですが、鼻筋はソフトなカーブを描き、眉間から先端まで同じ幅をしています。耳は大きくて付け根部分が広く、やや外向きについています。
さらに額にはM字型の「スカラベマーク」と呼ばれる模様が浮かび上がっていることもあるそうです。
エジプシャンマウの体重や大きさ(体長)は?
スリムで筋肉質な体つきをしているエジプシャンマウは、なんと時速50kmで走行することができる俊足の持ち主です。そのため別名「イエネコの最速スプリンター」と呼ばれることもあるそうです。
そんなエジプシャンマウが成猫になると体重はオスで約3.9~6.5kg、メスで約2.7~4.6kg、体高は約25~35cmに成長します。
一般的な猫の体重が平均3.6~4.5kg、体高が23~25cmとされていますので、少し小ぶりな猫といえそうです。
エジプシャンマウの飼い方について注意したいこと
大人しく神経質な一面を持ち合わせながら、高いところに登ったり俊足に走ったりとアクティブな一面もあるエジプシャンマウ。
もしも自宅に迎えるとしたら、飼う上で気を付けるべき注意点はあるのでしょうか。
過ごしやすい環境づくり
エジプシャンマウは基本的にひとりで遊ぶことが好きな猫です。そのため留守番をすること自体は何ら問題ありませんが、甘えてきたら思いっきり愛情を注いであげてください。
またとても神経質で人見知りをする傾向にあるエジプシャンマウ。家庭の事情や仕事などで長期間家を空ける場合は、ペットホテルや友人の家などに預けることは控えるようにしてください。その理由は普段と違う環境になるだけで、相当なストレス負荷を生じるからです。
どうしても家を空ける必要がある場合は、家に来てくれるペットシッターさんにお願いするようにしましょう。
さらにエジプシャンマウは多頭飼育の環境にあまり適していません。ひとりで快適に過ごせる環境を整えるようにしましょう。特にエジプシャンマウは高いところに登るのが大好きですので、キャットタワーを設置してあげると喜びますよ。
抜け毛は少ない方だけどこまめにブラッシングを
エジプシャンマウは短毛種なので、長毛種の猫ほど小まめにブラッシングをする必要はありません。
しかし全く抜け毛が出ないわけではありませんし、美しい被毛を維持するためにも1日1回のブラッシングをしてあげるのが理想といえます。やさしくマッサージをするようにブラッシングをしてあげてください。
また毛が抜け変わる換毛期では、毎日のブラッシングはもちろんのこと、シャンプーもおすすめです。
ただし中にはシャンプーを苦手とする子もいますので、すすぎのいらないドライシャンプーやシートタイプで拭くボディケアをしてあげるとよいでしょう。
まとめ
繊細な心の持ち主エジプシャンマウ。怖がりで人見知りをする傾向にありますが、心を許した家族には愛情深く、そばにいたがる傾向にあるようです。
また遊ぶことが大好きですので、エジプシャンマウが「遊んで!」と近寄ってきたら、お気に入りのおもちゃで5~10分以上集中して遊んであげると喜びますよ。
賢くてしつけのしやすい猫ですので、ぜひ猫を飼おうと検討している人は、エジプシャンマウも候補の1つとしてみてはいかがでしょうか。