ロシアンブルーは、ロシア北部のアルハンゲル島が原産の自然発生種であると考えられている猫種。過去には、アルハンゲルキャットという別名を持っていたり、スパニッシュキャット、フォーリンブルー、マルティーズキャットと呼ばれていたりしていました。
またかつては、第二次世界大戦で絶滅の危機に陥ったこともあるロシアンブルー。今回はそんなロシアンブルーについて性格や毛色の種類、飼い方などを深堀りしてみました。
ロシアンブルーの性格や特徴について
ロシアンブルーはとても大人しい性格ですが、運動量が多く遊び好きな一面を持っています。
またはじめは人見知りをしますが、飼い主と認めた相手には献身的な愛情を持ちます。このことからロシアンブルーは「ツンデレ猫」と呼ばれることも。
体臭はほとんどなく、お手入れもさほど手がかからないため、初めて猫を飼う人でも飼いやすい猫です。
一途で従順、犬のような性格って本当?
ロシアンブルーは、飼い主に対して一途で従順ともいえる行動を取ることから「犬に似ている」とよくいわれます。
ただし、誰にでも従順な態度を取るのでなく、相手を選んで決めているようです。そのため、家族の中でも「この人には従うけど、この人には従わない」といった態度を取ることも。また知らない人には強い警戒心を示すこともあり、隠れてしまうことも多くあるようです。
基本的に心を許した人とだけ過ごしたいタイプの猫ですので、良い関係が築ければ最愛のパートナーとなるでしょう。
ロシアンブルーは飼いにくい・なつかないって本当?
基本ベースはとても大人しい猫ではありますが、少々神経質で警戒心が強いところがあります。そのためストレスが溜まると凶暴化する恐れがありますので注意が必要です。
よく「ロシアンブルーは飼いにくい、なつかない猫」といわれますが、その理由はストレスを溜め込みやすい性格だから。環境の変化を始め、他のペットをかまったり、留守が多くなりがちだったりするとストレスで凶暴化する場合があります。
だからこそ、飼い主は考えて気持ちを汲み取ってあげることが大切です。
物静かでおとなしく、鳴き声も小さいロシアンブルー
「ボイスレスキャット」や「サイレントキャット」と呼ばれるほど大人しいロシアンブルー。滅多なことがない限り鳴くことがないといわれています。
それでも個体差はありますので、もちろん鳴く子も少なからずいます。ただし、その鳴き声もとても小さいので気にならないことがほとんどです。
マンションやアパートなどの集合住宅でも一緒に暮らしやすい猫といえるでしょう。
ロシアンブルーの毛色や模様の種類は?
ロシアンブルーといえばブルーの毛色が特徴的ですよね。
基本的に公式で認められている毛色はブルーのみですが、実はそれ以外の毛色もあるってご存知でしたか。
ここでは、ロシアンブルーの毛色について見ていきましょう。
ロシアンブルーの毛色①「ブルー」
「ロシアンブルーといえばこの色!」というほど、定番カラーでもある「ブルー」。1本1本がグレーの濃淡で帯状になっています。また光加減によっては色の具合が少し変化したり、シルバーに輝く深みのあるグレーに見えたりします。
この独特な深い色合いが、世界中の愛猫家に愛されている理由の1つといえるでしょう。
ロシアンブルーの毛色②「ホワイト(白)」
ロシアンブルーは、第二次世界大戦中に劇的に数が減少し、絶滅の危機に追い込まれました。その時、シャムネコやブリティッシュブルーなどの異種交配によってさまざまな毛色の猫が生まれました。
そのうちの1つが「ホワイト」。オーストラリアのブリーダーが作出したといわれており「ロシアンホワイト」と呼ばれることがあり、ロシアンブルーの中ではかなり希少なカラーとされています。
出生時は全身真っ白な毛色に覆われていますが、成長するにつれて毛色が変化し、全体的に薄いグレーになったり、ポイントが入ったりするようになります。
ロシアンブルーの毛色③「ブラック(黒)」
ホワイト同様、オーストラリアのブリーダーによって作出されたのが「ブラック」。見た目は他の黒猫と見分けがつきませんが、ロシアンブルーが持つ体つきもあってか、とてもスリムに見えます。
別名「ロシアンブラック」と呼ばれ、こちらもホワイトと同じく非常に珍しい毛色です。
それにしてもなぜ、ホワイトとブラックは珍しい毛色なのでしょうか。その理由は、公式で認められておらず、血統書を付けることができないから。そのため多くのブリーダーが繁殖に用いらないことから、珍しい毛色とされているのです。
ロシアンブルーの毛色④「ブルーポイント」
先述でお伝えした通り、異種交配によってブルー以外の毛色の猫が誕生したロシアンブルー。交配相手のなかには、ブルーポイントを持つシャムも含まれていたことから「ブルーポイント」のロシアンブルーも稀に生まれてくることがあります。
ブルーポイントは、全体的にグレーがかかった独特の色合いをしており、鼻や耳、足やしっぽにブルーの色が入っているのが特徴的です。
またこのブルーポイントは、劣性遺伝のため1/4の確率しか生まれないといわれていて大変希少な毛色でもあります。
ロシアンブルーは抜け毛が多い?
ロシアンブルーは、短毛種と呼ばれる短い毛をした猫種です。
2種類の毛質からなるダブルコートと呼ばれる毛質で、細い被毛がびっしりと生えているのが特徴です。特にアンダーコートと呼ばれる保湿の役割のある毛質が密集しているので、抜け毛が多いと感じられるでしょう。
元々ロシアンブルーは、寒い地方の猫でもありますので、同じ短毛種でダブルコートの毛質を持つアメリカンショートヘアとは違い、アンダーコートが密集しています。さらに通常よりもアンダーコートの量が多いため、抜け毛が他の猫よりも多いといわれています。
そのため、季節の変わり目でもある換毛期は特に大量の毛が抜け落ちるので、定期的なブラッシングはとても大切です。
ブラッシングは、ラバーブラシを使用すると効率的に抜け毛を取り除くことができるのでおすすめです。
ロシアンブルーの目の色は?
優雅で気高いロシアンブルーの大きな特徴といえば、シルバーブルーの被毛と輝かしいエメラルドグリーンをした目の色ではないでしょうか。
この目の色は、交配によって人為的に作出されたもの。ブルーの目を持つシャムと交配したことで、現在のグリーンの目をしたロシアンブルーが誕生したといわれています。
生まれたばかりの頃はブルーの目をしている
ロシアンブルーは子猫の頃から鮮やかグリーンの目をしてたわけではありません。
子猫の頃はどの猫種も青い目の色をして生まれてきます。その理由は、虹彩の色素が少ないから。
虹彩とは、眼球の前面、いわゆる瞳の周りにある円盤状の膜のこと。伸縮して瞳の大きさを変えたり、網膜に達する光の量を加減したりします。
そのため生まれたばかりの子猫は、虹彩の表面に色素沈着がないためブルーに見えるのです。
ブルーの色にも個体差がある
子猫の頃は、キトンブルーと呼ばれる淡い青色の目をしていますが、全ての猫が同じ色合いをしているわけではありません。
キトンブルーにも個体差があるので、クリアで濃いブルーの目を持つ子もいれば、イエローに近いブルーの目の子や、少しグレーが入ったブルーの目を持つ子も存在します。
成長すると鮮やかなグリーンへと変わる
子猫の頃はキトンブルーの目の色をしているロシアンブルーですが、成長するに従いメラニン色素が沢山作られるので、徐々に色鮮やかなグリーンへと変化していきます。
そのタイミングは個体差によって異なり、早ければ生後2ヶ月ほどで変わり始める子もいれば、2歳になってようやくグリーンに変わる子もいます。
そのため「うちの子はグリーンの目をしていない!」と慌てず、のんびり成長過程を楽しみましょう。
ロシアンブルーの体重や大きさ(体長)は?
ロシアンブルーの大きさは、成猫のオスで体重約4~5.5kg、メスで体重約2.5~4kgが平均がベースとなっており、5kgを超えると肥満体型とされています。また体長はオス・メス共に約30~40cmです。
目鼻立ちの整った顔立ちと、小顔がとても印象的であり、体型はほっそりとした「フォーリンタイプ」と呼ばれる体型をしています。
運動は好きですが比較的のんびり屋な性格なので、肥満にならないよう気を付けましょう。
ロシアンブルーの飼い方について注意したいこと
気品があり繊細な心を持つロシアンブルー。
お迎えするとしたら、どのようなところを注意すべきなのでしょうか。
嫉妬や独占欲があることを理解してあげる
ロシアンブルーは、自分が認めた者だけに愛情をいっぱい注いで欲しい猫です。そのため、誰とでも仲良く振る舞う素振りを見せません。
またプライドが高く、自ら積極的に他の猫や動物と仲良くするタイプでもありませんので、多頭飼いはあまり向いていないといえるでしょう。
さらに一方を可愛がったり、自分以外の誰かばかり構いすぎたりすると、嫉妬してストレスを抱えてしまいます。ロシアンブルーの性格をよく理解した上で接してあげるようにしましょう。
臆病な面から凶暴化することがある?
繊細で怖がりなロシアンブルーは、突然の刺激や環境の変化に弱い猫のため、ストレスを溜めやすいといわれています。
またストレスを溜めすぎると突発的に攻撃的な態度を見せ始め、飼い主に対しても「シャーッ!」と威嚇しながら噛みついてくることもあります。
もしも突然、攻撃的な態度をになったらその場から離れ、ロシアンブルーが落ち着くまでそっとしておき、近寄ってくるまでは待つようにしましょう。その時は決して大声をあげたり、体罰を与えたりすることは止めてくださいね。
ロシアンブルーは比較的大人しく穏やかな性格です。そのため、急に凶暴化した場合はなにかしら原因がありますので、その原因を追究し解決するように努めましょう。
週に1~2回のお手入れは忘れずに
先述でもお伝えした通り、ロシアンブルーはアンダーコートが密集したダブルコートの毛質を持ちます。
そのため他の短毛種よりも抜け毛が多い猫でもあるため、週に1~2回はブラッシングをしてあげるようにしましょう。また換毛期は特に抜け毛が多くなりますので、2日に1回はブラッシングを行い、清潔に保つようにしましょう。
ただしブラッシングをし過ぎたり、力強くしたりすると、肌が傷ついてフケやハゲてしまう原因にもなりますので注意してくださいね。
暑さが苦手なので夏場は室温管理が大切
元々寒い地域に住んでいたロシアンブルー。比較的身体が丈夫だといわれていますが、被毛が分厚いので暑さにめっぽう弱い猫種でもあります。
夏場は室温を27~28℃くらいに設定し、快適な環境を作ってあげてくださいね。
まとめ
自分が認めた相手だけ一途に愛するロシアンブルー。頭もよく穏やかな性格なので、知的で愛情深い猫を求めている方におすすめの猫種です。
ただし繊細な一面を持ち合わせていますので、急な環境の変化や大きな物音などを立ててストレスを与えないように気を付けてあげてくださいね。