アメリカのモンタナ州生まれのセルカークレックス。とても大人しく「羊の皮をかぶった猫」と呼ばれるほどおっとりとした性格の持ち主です。そのため、初めて猫を飼う方でも比較的飼いやすい猫とされています。
またカールのかかった個性的な被毛は、シルキーのような手触りだといわれており、一度触ると放したくないほどの気持ち良さです。
今回はそんなセルカークレックスの性格や特徴、毛色や体重、飼い方の注意点について詳しく見ていきたいと思います。
セルカークレックスの性格や特徴について
ふわふわで柔らかい印象のセルカークレックスは、その見た目の通り性格も柔らかで優しい性格の持ち主です。
ここでは、そんなセルカークレックスの性格についてまとめてみました。
穏やかで辛抱強い
セルカークレックスは、とても辛抱強く大らかな性格の持ち主ですので、初めて会う人はもちろんのこと、小さな子ども相手に対してもそつなく接することができます。
また先住猫や他のペットとも友好的に接することもできますので、多頭飼いにも向いている猫種といえるでしょう。
ただし、その性格がゆえにケガや病気をしても我慢してしまう傾向にありますので、少しでも様子がおかしいなと思ったらいつもより気をかけてあげ、場合によっては動物病院に相談するようにしてくださいね。
優しくてマイペース
前述でもお伝えした通り、セルカークレックスは「羊の皮をかぶった猫」と言われるほど、マイペースな性格の持ち主です。
基本的に平和に過ごすことを好みますので、家の中でも落ち着いて過ごすことが多いでしょう。またとても人懐っこく、ひょうきんで優しい性格なので、猫とゆったりと過ごしたい人にはおすすめの猫といえそうです。
甘えたがりで人懐っこい
本来、猫はひとりで過ごすことを好む傾向にありますが、セルカークレックスはその真逆。1匹でいるよりも飼い主と一緒に過ごすことが大好きです。
飼い主がいれば自ら膝の上に乗ってきたり、スリスリと体をくっつけてきたりするなど、スキンシップを取りたがります。
そんな甘えん坊なセルカークレックスは、ひとりで留守番をするのがとても苦手。寂しくてストレスを溜めてしまう傾向にあります。そのため、家を空ける時はおもちゃを用意してあげたり、なるべく早く帰ってあげるなどしてあげましょう。
セルカークレックスの歴史
セルカークレックスは1987年頃、アメリカのモンタナ州で自然発生猫種として発見された比較的新しい品種です。
縮れ毛を持ったコーニッシュレックスやデボンレックスなどの猫種の中でも、第三の勢力猫種として関心を寄せられています。
セルカークレックスの祖先となる猫は、元々アメリカのモンタナ州にある動物保護施設で保護された子猫の5匹いるうちの1匹でした。この1匹は、巻き毛の珍しい毛質だったことからブリーダーである「ジェリー・ニューマン」の目に止まり「ペスト」という名前が付けられ引き取られます。
当時モンタナ州には巻き毛の猫がいないこと、またペスト以外の兄弟猫は直毛なのに対し、ペストだけ巻き毛なことにジェリーは気付き、ペストは突然変異で生まれたものだと考えました。
ジェリーは「ペストが新しい猫種になるのではないか」と考え、自身が繁殖させている黒いペルシャと交配をさせることにしました。そうすると、6匹のうち3匹の子猫が巻き毛であることがわかり、これは突然変異ではなく遺伝であることを確信します。
ジェリーは他のブリーダーにも協力を仰ぎ、新しい巻き毛の猫種として育成を開始し、ペルシャを始め、エキゾチックショートヘアやブリティッシュショートヘアとの交配が行われました。
こうして愛玩動物としてふさわしい外見と性格を合わせ持つ、新しい猫種としてセルカークレックスは誕生したのです。
ちなみに、セルカークレックスとは「セルカークの巻き毛猫」という意味であり、セルカークとはアメリカのワイオミング州近くにあるセルカーク山脈から由来するといわれています。
1990年にTICAで新品種登録のための予備期間として経過観察を開始され、1992年にはTICA、1998年にはCFAなどの団体でセルカークレックスは新しい猫種として認定登録されました。
そしてCFAでは純血種として遺伝子の多様性を確保するために、アメリカンショートヘアを始め、エキゾチックショートヘア、ヒマラヤン、ブリティッシュショートヘア、ペルシャとの異種交配を認めていました。しかし、2010年1月1日以後はブリティッシュショートヘアーのみ、2015年1月1日以後はセルカークレックス以外の猫とのアウトクロス※1は認められないとされています。
※1.アウトクロスとは:5代血統表の中に全く共通した祖先がいない場合のことを指します。
セルカークレックスの毛色や模様の種類は?
セルカーレックスにはさまざまな毛色の子が存在しますが、全ての毛色とパターンが認められており、被毛の長さは短毛(ショートヘア)と長毛(ロングヘア)の2パターンに分かれます。
短毛(ショートヘア)といっても極端に毛が短いわけではなく、巻き毛ができるぐらいなので一般的な短毛種の猫よりは長めです。
セルカークレックスの抜け毛は多い?
セルカーレックスは他の長毛種よりは抜け毛は少ない傾向にあります。しかし、被毛自体にボリュームがあるためそれなりに抜け毛は落ちます。特に春と秋に訪れる換毛期は、普段の倍の抜け毛があるため注意が必要です。
そのため日頃からブラッシングを行い、ブラッシングに慣れさせるようにしましょう。
セルカークレックスの体重や大きさ(体長)は?
大きくてたくましい体つきのセルカーレックスのボディタイプは「セミコビータイプ」。
コビータイプよりも全体的に少し長めで丸々としていますが、よりがっしりとした体格をしています。
成猫になると体重がオスで約4.8~6.5kg、メスで約2.9~4.5kgまで成長し体高は20cmほどとされています。なかには7kgを超える子も少なからずいるようですよ。
セルカーレックスは全体的にバランスよく筋肉が発達し、骨格もしっかりしているのでキュートな見た目とは裏腹に力強い印象を受けます。
しかし成長するスピードは他の猫種より遅く、成猫になるまで約3年かかるといわれています。
セルカークレックスの飼い方について注意したいこと
穏やかで優しい性格といわれるセルカーレックスですが、実際お迎えするとなった場合、気を付けるべき注意点などはあるのでしょうか。
ここでは、セルカーレックスを飼う上での気を付けるべき3つの注意点について見ていきましょう。
セルカークレックスは飼いやすい猫種?
多くのセルカーレックスは動作が素早く、運動量も多いのが特徴です。そのため遊ぶ時はかなりアグレッシブなので、元気よく遊べるようにキャットタワーやキャットウォークなどを用意してあげるとよいでしょう。
また一緒に遊べるおもちゃを色々揃えておくと、コミュニケーションの一環として楽しめますよ。
さらに猫全般にいえることですが、年齢を重ねるごとに猫はじっとしたがるようになります。子猫の頃から運動をする習慣をつけ、肥満予防に努めてくださいね。
毎日のお手入れがとても大切
セルカーレックスには短毛と長毛の2タイプに分けられますが、どちらも小まめなブラッシングが必要です。
びっくりするほど大量の抜け毛が落ちるわけではありませんが、それなりに毛は抜けるため短毛でも週2~3回、長毛は毎日ブラッシングをするようにしましょう。
また直毛の猫と比べ、巻き毛のセルカーレックスは皮脂分泌が多いとされています。そのためケアを怠ると皮膚トラブルの原因にも繋がりかねませんので、小まめなお手入れは必要不可欠です。特に換毛期は1ヶ月に1回、シャンプーで全身きれいに洗うことをおすすめします。
運動不足には注意
一見のんびりとした雰囲気のセルカーレックスですが、人とのコミュニケーションが大好き。活発で元気な一面を持ち合わせています。そのため、最低でも1日5~10分以上は集中して遊んであげるようにしてください。
運動不足に陥るとセルカーレックスは太りやすい傾向にあります。成猫になってからもしっかり運動ができる環境を整えてあげるようにしましょう。
セルカークレックスとラパーマの違いは?
ワイルドな巻き毛が印象的なセルカーレックスとラパーマという猫。一見とても似ていますが、2種類の猫を見分けるポイントはあるのでしょうか。
大きな違いは体型と毛質の遺伝
セルカーレックスとラパーマは、どちらも全身の被毛がクルクルとカールした巻き毛が特徴で、ひげや眉毛もカールしています。
性格も人懐っこく、甘えん坊で飼い主が大好きなところも瓜二つですが、大きな違いは体型と毛質の遺伝にあります。
セルカーレックスの体型は、全体的に丸みを帯び、コビータイプよりも手足や胴体、しっぽがやや長めの「セミコビータイプ」に分類されますが、ラパーマは全体的に細身体型の筋肉質で、セミコビータイプよりも細長い「セミフォーリンタイプ」に分類されます。
そのため、丸みがあり全体的にがっちりしているのがセルカーレックス、全体的に細長い体型をしているのがラパーマとなります。
またセルカーレックスとラパーマは優性遺伝子を持ちますが、巻き毛や縮れ毛を形成する遺伝子に違いがあります。セルカーレックスはSe遺伝子から形成されていますが、ラパーマはLp遺伝子から形成されています。
まとめ
セルカーレックスは他の猫に比べて歴史が浅い猫種ではありますが、その愛らしくぬいぐるみのようなルックスと、愛嬌たっぷりの性格に魅了された方も多いのではないでしょうか。
飼い主のことが大好きで甘えん坊なので、猫とコミュニケーションをたくさん取りたい方にピッタリな猫種といえそうです。
猫を飼いたいなと検討している人は、個性的なセルカーレックスも視野に入れてみてはいかがでしょうか。