かつては「カナディアン・ヘアレス」と呼ばれていたスフィンクス。
個性的な外見とは裏腹に性格は陽気で活発。人が大好きなところもあり、初めて会った人にもゴロゴロと甘えてきます。また飼い主に対する愛情度も高く、飼い主の後を追う素振りはまるで犬のようです。
欧米では「スフィンクスは、猿と犬と猫でできている」といわれるほど、猫らしくない一面を多く持ち合わせており、その見た目とのギャップで多くの愛猫家を魅了しています。
今回そんなスフィンクスをもっと知ってもらうために、性格や特徴、毛色の種類や飼い方の注意点などについてまとめてみました。
これを読んだら、あなたもきっとスフィンクスが好きになりますよ。
スフィンクスの性格や特徴について
1982年に公開されたSF映画「E.T.」に出てくる宇宙人のモデルは、スフィンクスだといわれています。
その個性的な外見を苦手とする人もいるかもしれませんが、実はとても甘えん坊で飼いやすい猫といわれています。
また、筋肉質で運動が大好きな一面があり、好奇心旺盛で甘えん坊な性格からヨーロッパで高い人気を誇る猫種です。
人が大好きな甘えん坊
スフィンクスはイギリスを起源とするデボンレックスの血を引くことから、とても甘えん坊で飼い主に対して忠実な性格をしています。
とにかく人にかまってもらうことが大好きな猫なので、時々ちょっかいをかけて「遊んで~!」と言ってくる姿が愛らしい猫です。
また社交的で活発な性格をしているので、他の猫やペットとも仲良く生活ができるので、多頭飼いにもおすすめです。
好奇心旺盛で遊び好き
好奇心旺盛で遊ぶことが大好きなスフィンクス。さらにとても頭がよく元気な性格なので、子猫の頃からいたずら好きな傾向にあります。そのため、小さい頃から上手にしつけをしていくことが大切です。
犬のような性格をしているので、猫にたくさん甘えてもらいたい人にはピッタリの猫種といえそうです。
実は無毛ではない?
スフィンクスは無毛といわれますが、綿毛で覆われた桃のように薄い産毛が生えています。
また他の猫種のように立派で長いヒゲは生えていませんが、耳や体の先端を見てみると少し長めの被毛が生えているのがわかります。
スフィンクスは被毛が少ないですが、皮脂腺が発達していることから触れると暖かい温もりを感じます。実際、他の猫よりも体温が約4℃高いとされているそうです。
体を守る被毛がほぼなく、気温の変化に弱いスフィンクス。さらに傷もできやすい体なので、飼う際は十分なケアが必要といえるでしょう。
大きな耳と大きな目が印象的
被毛が他の猫種より極端に少ないスフィンクスですが、それ以外に目立つ特徴としては大きな耳と目ではないでしょうか。
個性的な顔立ちは好き嫌いが分かれますが、その大きな瞳はブルーを始め、アクア、イエロー、オッドアイ、カッパー、グリーン、ゴールド、ヘーゼルなどの色鮮やなカラーが印象的です。
スフィンクスの歴史と名前の由来
スフィンクスと名前を聞くと、エジプトを連想する方が多いかもしれませんが、実は猫のスフィンクスは1966年、カナダのオンタリオ州にあるトロントという街で生まれました。
突然変異で生まれた毛のない猫は「プルーン」という名前が付けられ、このプルーンを基に繁殖が始められましたが、遺伝的疾患などにより数代にしか続かず途絶えてしまいました。
その後、1970年代にアメリカのマークスティン夫妻が毛のない猫とデボンレックスを交配させたことがきっかで、後のスフィンクスの原型が誕生したといわれています。
国際猫協会のTICAで認定されたのは1980年と比較的新しい猫種です。
またスフィンクスの名前の由来は、ルーブル美術館にあるエジプトの猫像と同じ姿勢をしていたという説や、エジプトの石像であるスフィンクスに似ているといった説などがあげられます。
ただ、猫のスフィンクスは「Sphynx」、エジプトの彫像は「Sphinx」なのでつづりが異なります。
スフィンクスの毛色や模様の種類は?
「無毛の猫」といわれるスフィンクスですが、薄い産毛が生えておりスエードのような手触りがします。また色や柄は皮膚に毛色として現れ、代表的なカラーとしてはブラック、ブルー、クリームタビー、レッドダビーなどがあります。
これらの色は全て認められていますが、毛色の判断が難しいとされていることから毛色に関する審査評価はありません。
代表的な毛色「ブルークリーム&ホワイト」
スフィンクスの毛色の中で最もポピュラーなカラーが「ブルークリーム&ホワイト」です。薄いぶち模様が印象的です。
代表的な毛色「ホワイト(白)」
ホワイトと聞くと、雪のような純白な白をイメージされるかと思いますが、スフィンクスの白はどちらかというと肌色に近いピンク色が特徴的です。
白猫は左右の目の色が違うオッドアイが生まれることがありますが、スフィンクスも同様でオッドアイの子が生まれることがあります。
代表的な毛色「ブラック(黒)」
個性的なスフィンクスの見た目が、より一層クールでカッコ良く見えるブラック。
単色のみのため、大きな耳と目がさらに強調され際立ちます。
代表的な毛色「ブルー」
やさしい色味のブルー。ブルーといっても海のような青さではなく、どちらかというとグレーに近い色といってよいでしょう。
代表的な毛色「ブラック&ホワイト」
黒と白のバイカラーのブラック&ホワイト。
黒色の入り方や形はそれぞれ異なりますが、それがまた個々の魅力を引き立たせています。
代表的な毛色「キャリコ」
キャリコとは、赤(茶色)・黒・白の3色の毛を持つ三毛猫を指します。
色の出方は猫によって異なり、色の境がはっきりしているものから、薄い模様を持つものまでいます。
スフィンクスの場合は色の境がはっきり分かれているので、単色のスフィンクスと比べるとまた違った魅力があります。
代表的な毛色「タビー」
スフィンクスにも、しま模様のタビーが存在します。レッドタビーやホワイトタビーの他、ちょっと珍しいグレータビーもいます。
代表的な毛色「ポイント」
シャム猫のように、顔や体の先端に濃い色味がつくのがポイント柄です。
スフィンクスの場合、鼻まわりや耳に濃い色のポイントがつきます。
スフィンクスの体重や大きさ(体長)は?
一見細身に見えますが、かなり筋肉質でずっしりしているスフィンクス。成猫になると体重はオスで約3.0~6.0kg、メスで約2.5~4.0kgに成長します。体高は約24~26cmで大きさは中型の猫に分類されます。
またキャットショーでは、シワの数が多いスフィンクスほど高く評価されるそうです。
スフィンクスの身体的な特徴
スフィンクスのボディタイプは、コビーとオリエンタルの中間に属するセミフォーリンタイプとされています。頭部は丸みを帯びたくさび型に、短めのボディ、そして重量感のある体つきをしています。
子猫の頃は筋肉量が少ないので体重は比較的軽めですが、成猫になるにつれ筋肉量も増えてきます。そのため、子猫の頃から栄養バランスの摂れた食事を心掛けるようにしましょう。
スフィンクスの飼い方について注意したいこと
インパクト大なその見た目とは裏腹に、飼い主が大好きで茶目っ気のあるスフィンクス。実際お迎えした場合、どのような点を気を付けてあげるべきでしょうか。
ここでは、スフィンクスを飼う上で気を付けるべき5つの注意点について見ていきましょう。
室温管理は徹底して
被毛がないスフィンクスは、体温調節がとても苦手です。そのため暑さにも寒さにも弱いので、飼う場合は完全室内飼いにするようにしましょう。
室内の温度としては約25℃前後、湿度は約50~60%に保ち、スフィンクスが快適に過ごせるようにしてください。ただしスフィンクスにも個体差がありますので、その子にあった最適な室温に調整してあげてくださいね。
皮膚のケアが大切
スフィンクスは、被毛がないのでブラッシングをする必要はありません。その代わり、蒸しタオルやペット用のウェットティッシュなどで毎日体を拭いてあげる必要があります。
その理由は「皮脂腺が発達しているため」です。
毛がないスフィンクスは、自身の肌を守るために皮脂腺が発達しています。そのため被毛のある猫と比べると、スフィンクスはオイリー肌。本来は、毛に行くはずの皮脂が皮膚の表面上に滲み出てくるため、シワの間に溜まると雑菌が繁殖して皮膚トラブルに繋がる恐れがあります。
皮膚トラブルを抑止するためにも、毎日小まめに体を拭いてあげるようにしましょう。
ケガや日焼けに注意
肌が露出しているスフィンクスは、ちょっとしたものに引っかかるだけでもケガを負ってしまうことがあります。
遊ぶことが大好きなスフィンクスですので、おもちゃなどでケガをしないように、先が尖っているものは避けるようにしてください。また角のある家具などにはやわらかいクッション材などでカバーをしてあげるとおすすめです。
ケガ以外にも気を付けるべき点としては、紫外線です。肌が露出していることから、日差しを浴びるだけで簡単にやけどを負ってしまいます。できるだけ直射日光が当たらないようにカーテンをつけたり、スフィンクス自身に洋服を着させたりするなど対策を立てるようにしましょう。
食事に関して
筋肉質でがっしりとしたスフィンクス。その体をつくるためには高タンパク質かつ、低炭水化物の食事をしっかり摂らせる必要があります。
また活発で運動量が多いので、例え食べ過ぎても適度な運動でカロリーを消費できますが、炭水化物を多く含むフードやおやつなどは肥満の原因に繋がります。十分注意するようにしましょう。
できるだけ構ってあげて
スフィンクスは飼い主に対してとても甘えん坊です。飼い主が動くと、それを見て後を追いかけるほど犬っぽい性格をしています。
そのためスフィンクスが「遊んで」「構って」と来たら、いつでも構ってあげるようにしましょう。
スフィンクス座りってなに?
お腹を地面に付けて前足を伸ばし、後足を体の下にしまう猫の座り方を「スフィンクス座り」といいます。これは決して猫のスフィンクスから名付けられたわけではありません。
スフィンクス座りは、エジプトにあるスフィンクス像から由来されています。この座り方は、少し不安があったり、警戒心を抱いていたりしている時に見られるといわれています。
なかには、お腹の下に前足をしまうのが窮屈だからという理由で好んでスフィンクス座りをする猫もいるそうです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
外見だけでは知ることのできない、スフィンクスの良さを知っていただけたと思います。
被毛がない分、温度管理や体のケアを小まめにしてあげる必要はありますが、とても甘えん坊の性格なので、猫とのコミュニケーションを楽しみたい方にはピッタリといえるでしょう。
今まで猫を飼う上で候補として上がっていなかった方も、ぜひこの機会にスフィンクスにも注目してみてくださいね。