猫の多頭飼いはどうする?相性や失敗しないコツ、トイレの設置など

一般社団法人ペットフード協会によると、猫がいる世帯での平均飼育頭数は2,76頭※1であり、年々多頭飼い飼育をしている人が増えてきています。

猫の多頭飼いをする理由として「ひとりはかわいそう」「保護した」など、新入り猫を迎えようと思う機会が多いからかもしれません。

しかし、すでに先住猫がご家庭にいる場合、想像以上に責任と気配りが重要になってきます。

ここでは、猫の多頭飼いをする上で相性や失敗しないコツなどについて詳しく解説していきます。

※1.一般社団法人ペットフード協会(令和2年 全国犬猫飼育実態調査

多頭飼いに失敗しないための心構えと注意点

猫の多頭飼い

すでに猫を飼っていて新たに猫をお迎えしたいと思ったとき、どのような点を考慮する必要があるのでしょうか。

スペースの確保と環境づくり

多頭飼いをする上でまず行うことは「環境づくり」です。

猫たちがストレスなく、のびのびと生活ができるようにキャットタワーだけではなく、猫たちがくつろげるスペースをたくさん設置してあげましょう。

また猫の飼育頭数は、住環境や猫同士の相性などによって異なりますが、目安として以下の数式を参考にしてみてください。

「飼育数の上限=猫が自由に出入りできる部屋数-1」

例えば、猫が自由に出入りできる部屋が3部屋あったとします。そこから1を引いた2頭までがその家で飼育できる上限数になります。

多頭飼いをする場合、ある程度上限を決めておかないと猫の頭数が増えてしまう恐れがあります。そうなると猫同士のトラブルが増え、生活に支障をきたす恐れがあります。

責任を持って猫をお迎えするためにも、部屋数に応じた頭数を決めておくとよいでしょう。

先住猫の健康チェック

先住猫がいる場合、ノミやダニなどの寄生虫や感染症を患っていないかなど、現在の健康状態をしっかり確認する必要があります。

新しく猫をお迎えする前に一度、かかりつけの動物病院で健康診断を受診しておくとよいでしょう。

もしも先住猫の体調に問題が見つかった場合、新しい猫をお迎えするタイミングや生活の場所を切り分けることを考えなくてはいけません。

何よりもまずは、先住猫を第一に考えて行動するようにしましょう。

食事の注意点

猫に与える食事は全て同じもの、同じ量とは限りません。

猫種や年齢を始め、体重や個体差によって食べる量が違うからです。「まとめてあげたい」という気持は抑え、まずは一頭一頭、猫たちの様子を観察しながら食事を与えるようにしてください。

また猫の性格にもよりますが、相手が違うものを食べていると気になってしまいます。特に子猫と成猫では食べるものが違いますので、注意が必要です。

横取りや取り換えっこしないよう、食べる方向を変える、高さの違う台にしてみる、別々の食器を使う、別の部屋で食べさせるなど工夫するとよいでしょう。

新入り猫に対して注意すること

新入りの猫をお迎えする上でまず行っていただきたいのが「ウイルス検査」です。猫は知らないうちに、命に関わるウイルスに感染している恐れがあるからです。

ウイルス検査は血液検査で調べることができ、猫免疫不全ウイルス(FIV)、猫白血病ウイルス(Felv)、猫伝染性腹膜炎(FIP)、トキソプラズマなどを調べることができます。

感染の有無を確認し、万が一感染症を患っている場合は獣医師とよく相談した上、治療を進めていきましょう。

先住猫に対して注意すること

猫は環境の変化を好まない生き物です。

突然見慣れない猫用のグッズが置いてあると落ち着きません。なるべく新しい猫用のケージやトイレなどは、1週間前から出してニオイに慣れさせましょう。

猫の相性はある?

元々猫は単独行動をする動物です。そのためひとりでの生活は全く寂しくはありません。

また2頭目を迎え入れることによって、先住猫が多大なストレスを感じる恐れもあります。

もし2頭目をお迎えすると決めたら、まずは先住猫の性格や猫同士の相性を考えてあげるようにしましょう。

相性が良い組み合わせってあるの?

一般的にメス同士や、避妊去勢手術が済んでいるオス猫とメス猫同士はトラブルなく生活ができるといわれています。

また、兄弟姉妹の猫は比較的仲良くなりやすい傾向にあるそうです。

ただあくまで猫の性格によるため、相性の良い組み合わせというものが確立しているわけではありません。

そのため、新入り猫の性格と先住猫の性格が合うかどうかよく確認しながら、じっくり考えてあげましょう。

年齢差は関係ある?

猫の多頭飼いにおいて年齢は、近ければ近いほどよいとされています。幼いうちは縄張り意識が弱いこと、また遊び相手が欲しいからです。

もちろん成猫同士で仲良くなれることもありますが、年齢が上がるほど性格や個性などが確率するため、できればお互いの年齢が低いうちにお迎えすることをおすすめします。

先住猫がシニアの場合

先住猫が高齢(シニア)の場合、子猫をお迎えするのはあまりおすすめできません。

高齢猫にとって子猫の無邪気で活発な姿がうっとうしく感じ、ストレスになることがあるからです。また下手をすると、強いストレスで体調を崩してしまうかもしれません。

どうしても子猫をお迎えする場合は部屋を別々にするなどし、高齢猫に負担がかからないよう配慮してあげてください。

社会化期を過ぎている猫を後から迎える場合

先住猫が子猫で後からお迎えする猫が成猫の場合は、比較的仲良くすることができるといわれています。

しかしどちらも成猫同士で、他の猫と暮らした経験がなかったり、縄張り意識が強いオス猫同士であったりすると喧嘩が絶えない恐れがあります。

先住猫がおおらかで社交的であれば、うまくいく可能性もありますが、逆に神経質ですぐに隠れてしまうような性格であれば、多頭飼いは見送るべきかもしれません。

多頭飼いではトイレはどうする?

お互い仲がよければ共有することもできますが、排泄は自分の縄張りを主張する大切な場所の1つです。環境が気に入らないと、トイレ以外の場所でしてしまう恐れがあります。

また仲が悪い場合、待ち伏せして排泄を邪魔したり、襲ったりすることもあります。

そのためできればトイレの数を「猫の数+1個」設置するようにし、どの通路からでもトイレに行けるような場所に設置してください。飼育頭数が多い場合は、+2~3個、もしくは大きな浅方のプラケースや大きめのトイレを設置してあげるとよいでしょう。

ただし、どうしても複数置くのが難しい場合は、小まめに掃除をして清潔に保つようにしましょう。

初顔合わせのやり方

先住猫と新入り猫の顔合わせは避けては通れぬ道であり、慎重に行う必要があります。

失敗してしまえば一緒に生活はできないですし、ストレスで体調を崩してしまう恐れがあるからです。

では、先住猫と新入り猫の顔合わせは何を注意するべきなのでしょうか。猫の顔合わせの時期ややり方などと合わせて見ていきましょう。

最初の1週間は別々の部屋に

最初の1週間程度は、新入り猫をケージに入れてタオルで覆うか、別々の部屋で過ごすなどして、直接触れ合わないようにします。

お互いが興奮してストレスを溜めないようにするため、また新入り猫が環境に馴染んでもらうためです。

まずは少しずつ環境の変化に慣れていってもらうようにしましょう。

互いの存在を少しずつ認識させる

初顔合わせに備えて、少しずつ互いの存在を認識するためにも、相手のニオイがついたタオルやおもちゃを嗅がせてみましょう。

お互いのニオイを嗅いで、威嚇しないようになれば直接触れ合う機会を作ります。この時も急に喧嘩をする場合があるため、少しずつ進めるようにしてくださいね。

まずはケージ越しに対面

新入り猫をケージに入れた状態で先住猫と対面させ、お互いの反応を見ながらゆっくり接触を試みましょう。

この時、相性によっては喧嘩をしてしまうことがあるため、お互いにケガをしないようにその場から離れないでください。

会わせるタイミングとしては、空腹時に両方の猫の好物やおやつを与え、よい印象を与えてからにしましょう。

注意しながらケージ外で触れ合わせる

何度かケージ越しで対面し慣れてきたら、ケージなしで触れ合わせます。その時、決して目を離さないようにし、どちらかが威嚇したり逃げたりした場合はすぐに触れ合いを中断してください。

もし新入り猫に対して先住猫が威嚇したり逃げたりした場合は、時間をかけて少しずつ慣れさせていきましょう。

喧嘩になったらどうすればいい?

猫は鋭い爪と歯を持っているため、軽くパンチをしただけでもケガを負ってしまうことがあります。

そのため、なるべく猫同士の喧嘩はさせないようにしてください。特にオス猫同士は縄張り意識が強いため喧嘩になりやすいです。去勢手術をするなどし、なるべく猫同士が喧嘩しないよう対処しましょう。

それでも喧嘩が絶えない場合、猫同士の相性が悪いのかもしれません。一旦部屋を分け、食事やトイレなども別々にしてあげてください。そして少し期間をおいて再度引き合わせてみましょう。

猫の性格によっては時間がかかるかもしれませんが、焦らずゆっくり猫同士の様子を見ながら段階を踏んでいってみてくださいね。

まとめ

猫にとって飼い主さんは、お世話をしてくれる母親的存在です。

飼い主さんが新入り猫ばかりお世話をしたり、構ったりすると、先住猫はやきもちを焼いて新入り猫に対して攻撃的になる恐れがあります。

先住猫がかまって欲しいと近付いてきたらスキンシップをとり、意識的に先住猫を優先して可愛がってあげてください。また抱っこや遊び、食事なども全て先住猫を優先しましょう。

そうすることで先住猫は安心し、新入り猫に早く慣れることに繋がっていきます。

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