猫が赤ちゃんや妊婦さんと同居するうえで注意したいことは?

妊娠や出産をして赤ちゃんが生まれたら、猫との同居は難しい?

決してそんなことはありません。注意すべき点に気を付け、ルールを守ることで家族である猫と生活を続けることができるのです。

では、どのような点を注意していけばよいのでしょうか。

猫の健康管理をしっかり行う

猫と赤ちゃん

猫を飼っている人に赤ちゃんがいたり、妊娠したりした場合は気を付けるべき点があります。

それは猫から感染する病気です。
猫に感染する病原体は猫だけではなく、人にも移してしまう恐れがあります。

そのため、日頃から猫の健康管理には十分注意しましょう。

ではどんなところを気を付けるべきなの解説していきます。

感染症に注意する

猫から人へ感染する病原体は、加熱不十分な食肉や猫の糞尿を通じて感染します。

そのため、猫のトイレ掃除はなるべく他の家族に対応してもらうようにしましょう。もしも妊婦さん本人が掃除をする場合は、使い捨てのビニール手袋を使用し、掃除後は手洗いうがいをしっかり行ってくださいね。

また猫を含む人間への感染症の予防として、いくつか注意すべき点があります。
ご自身の身体を守るために、またお腹にいる赤ちゃんを守るためにも、以下の内容をよく理解し実践するようにしましょう。

  1. 肉はよく火を通すこと(66度以上の温度で調理したものを食べる)
  2. 生肉を扱った調理器具や食器は必ず洗ってから使用すること
  3. 生野菜や果物の摂取を避けるか、よく洗って食べること
  4. 土いじりは手袋を付け、その後はよく手を洗う
  5. 猫のトイレは常に清潔にすること(定期的に熱湯で洗浄・消毒すると◎)

特に家猫からの感染よりも、外猫がトイレとして使う公園の砂場などからの感染にも注意が必要です。小さなお子さんがいるご家庭は、砂を口などに入れないよう細心の注意を払い、家に帰ったら必ず手洗いうがいをするようにしましょう。

マダニやノミ対策

猫を飼っているご家庭にとって「マダニ」は注意が必要です。

マダニは草むらに生息し、猫の熱や振動、二酸化炭素などを感知して猫の体に移ってきます。

万が一、赤ちゃんや乳幼児がマダニに刺されると、かゆみやアレルギー症状を引き起こすだけではなく、感染症を患ってしまう恐れもあります。

大切な我が子を守るために、そして飼い猫にマダニやノミがつかないためにも、駆除薬の投与を必ず行うようにしてください。

そしてマダニやノミが猫につかないためにも、家から出さないようにしましょう。

猫のストレス対策を行う

猫の行動を見ていると、自由奔放な暮らしぶりにストレスなど無縁に思えるかもしれません。

しかし元々単独で狩猟していた生き物ですので警戒心が強く、神経質な傾向にあります。猫は変化のない生活を好むため、周囲で少しでも変化を感じるとストレスを抱きやすいのです。

また長期的にストレスを受け続けると、それが引き金となり病気を患うこともあるため注意が必要です。

では飼い主さんの赤ちゃんとの暮らしが始まる場合、猫が感じるストレスをどのように軽減すればよいでしょうか。

トイレは静かな場所に

猫は赤ちゃんが苦手な傾向にあります。動きが予想しづらく、泣き声も大きいため怖い存在と感じるようです。

そのため、猫のトイレは赤ちゃんの泣き声があまり届かない静かな場所に設置するようにしましょう。

ただし、元々あったトイレの場所を移動することで猫の負担になる恐れもあります。赤ちゃんが入れないようにベビーゲートなどを設置し、排泄に集中できる環境を作ってあげるようにしてくださいね。

猫がくつろげるスペースの確保

猫が赤ちゃんと適度な距離を保てるように、くつろげるスペースを確保してあげましょう。

また猫が赤ちゃんに不快感を持った際、すぐに離れることができるように高い場所に上れるキャットタワーを置くのも効果的です。

毎日少しでも遊ぶ時間を作ってあげる

新しく家に入ってきた赤ちゃんは、猫にとって「新入り」です。飼い主さんが新入りばかりを構っていると不快に感じ、やきもちや嫉妬心を抱く場合があります。

やきもちや嫉妬心を抱かないようにするためにも、今まで以上にスキンシップをとったり、猫じゃらしなどで遊んであげたりするようにしてください。

またもしも家の部屋数に余裕があれば、猫とゆっくり過ごせる部屋を用意し、育児の合間にその部屋で猫を構ってあげるとよいでしょう。

猫が赤ちゃんと同居するために気を付けたいこと

新生児や乳児にはまだ十分な免疫力が備わっていないため、猫が持つ病原体には細心の注意が必要になります。

対策として、以下の3つの衛生管理を行うようにしましょう。

食器を混同させない

お皿に付いた猫の唾液を通して、赤ちゃんが感染症を引きこすこともあります。猫が使う食器は、使用後すぐに片付けるようにしてください。

また人間と猫の食器は別々のものを使うことはもちろんのこと、食器を洗うスポンジも別々にするようにしましょう。

掃除やグッズの手入れはこまめに

掃除機で吸い取ろうとすると、排気や風などで床に落ちている猫の毛やホコリなどが空中に舞ってしまいます。

特に猫の毛は静電気が起きやすいため、使い捨てタイプのハンディモップで絡め取るとよいでしょう。

また掃除の手順は「上から下へ」「内から外へ」が基本です。家具などの高いところからホコリやゴミをはらい、掃除するようにしましょう。

猫の爪を切る

猫の爪は、狩りをしたり木に登ったりするため鋭く尖っています。そのため、爪切りなどのケアを怠るとじゃれついただけでもひっかき傷になってしまいます。

さらに傷だけではなく、場合によっては感染症にかかるリスクもあります。3週間から1ヶ月に1回の目安に爪を切るようにしましょう。

引っかかれたり噛まれたら病院へ

たとえ猫が健康体であっても、口腔内には数多くの雑菌が存在します。

特に猫に噛まれた場合、非常に高い確率で傷口から細菌感染を引き起こす可能性がありますので、噛まれたらすぐ患部に水をかけて洗い流すようにしましょう。

また動物に噛まれたら基本的に医師の指示に従ってください。

ハイハイやたっちができるようになった場合

赤ちゃんは生後5ヶ月頃になると、好奇心のおもむくままに気になるものを口に入れようとします。

そのため、手の届く場所に猫のおもちゃや食器などがあると、それらを口に入れてしまう恐れがありますので、必ず手の届かない場所に置くようにしましょう。

さらに生後9~10ヶ月頃になると、ハイハイやたっちができるようになるため、行動範囲が広がっていきます。

猫のトイレ砂を触ったり、猫のうんちを握ったりする危険性がありますので、必ず赤ちゃんが入れないようにベビーフェンスなどを用意するようにしてください。

また赤ちゃんは力の加減を知りません。猫の耳やしっぽを思いっきり引っ張ったり、握ったりして猫がビックリし、反射的に攻撃してしまう可能性があります。赤ちゃんと猫との距離関係に十分注意するようにしましょう。

アレルギー対策

猫アレルギーの予防対策では、アレルゲンに触れる機会を減らすことが重要です。小まめな掃除はもちろんですが、猫のアレルゲン対策として以下のことを参考にしてみてください。

  • 猫のブラッシングを小まめに行う
  • ベビーベッドを設置する
  • 赤ちゃんと猫の居住スペースを分ける
  • 赤ちゃんと猫が過度に接触しないようにする
  • 服についた猫の毛を粘着ローラークリーナーなどで取り除く

猫のアレルゲンは抜け毛やフケ、唾液に含まれるタンパク質といわれています。

アレルゲンは花粉の10分の1ほどの大きさしかありませんが、唾液は乾燥して空中を舞うため、猫が毛づくろいした後にアレルゲンを吸い込みやすくなります。

また猫の抜け毛にもアレルゲン付着しているため、抜け毛が多くなる換毛期は特に注意が必要です。

もちろんアレルゲンは猫に限らず、ハウスダストなども原因の1つとしてあります。そのため、小まめに掃除を行うのはもちろん、ほこりの出にくい寝具に変える、カーペットをやめる、空気清浄機を設置するなど、猫以外のアレルゲンとなるものを少なくするよう心掛けましょう。

赤ちゃんにとって猫と暮らすことの効果

赤ちゃんが猫と暮らす上で、ケガやアレルギーの心配をされる方が多いかもしれません。
しかし猫と暮らす上で、赤ちゃんにもたらしてくれるメリットも多くあります。

情緒の安定

赤ちゃんの頃から猫と触れ合うことで、子どもの感情や情緒を豊かに育む効果が期待できます。

またペットに対する愛情が他者を思いやる気持ちに繋がり、思いやりや命を大切にする気持ちが身に付きます。

猫の存在が、赤ちゃんの心の成長により良い影響を与えてくれるのです。

命の大切さを学べる

猫全体の平均寿命は15.45歳と年々上がってはいますが、残念ながら子どもはいつか猫の死を経験することになります。※1

愛情を注いできた猫の死に、ショックで悲しい日々が続くかもしれません。しかし、子どもはこの経験によって命の儚さ、そして大切さを学び、人生を送る上での教訓を得ることができるでしょう。

※1.一般社団法人ペットフード協会「令和2年 全国犬猫飼育実績調査

猫と赤ちゃんが仲良しになるには?

赤ちゃんと猫が一緒に生活をすることになった時、どのようなことを気を付けてあげればよいのでしょうか。

ここでは、猫と赤ちゃんを仲良く育てる上でのポイントを大きく分けて4つにまとめてみました。

赤ちゃんの声に慣れてもらう

猫は大きな音が大の苦手。特に赤ちゃんの泣き声は大きいため、泣き声が聞こえる度にビックリし、ストレスを溜め込んでしまいます。

そのため少しでも猫のストレスが軽減できるように、インターネットなどを利用して赤ちゃんの泣き声や笑い声などを聞かせ、少しずつ慣れさせていくとよいでしょう。

少しずつ同じ空間で過ごしてもらう

猫の性格によっては、初めて見た人間の赤ちゃんに対して攻撃性を示す場合があります。

できれば始めのうちは猫と赤ちゃんの部屋を分け、飼い主さんが目を離さない状態で少しずつ一緒の時間を増やしていくようにしてください。

そうすることで猫もストレスになりにくく、徐々に赤ちゃんとの距離を縮めることができることでしょう。

ふれあう時は見守れる範囲内で

赤ちゃんと猫が同じ空間にいることに慣れてきたら、赤ちゃんと猫を近付けてみましょう。

猫に攻撃性がないことがわかれば、大人が赤ちゃんの手を添えながら優し撫でてあげてください。そうすることで、赤ちゃんが急に毛を引っ張ることを避けられます。

キャットタワーの設置

赤ちゃんは予測不可能な行動をします。猫に近づいてはヒゲを引っ張ろうとしたり、体を叩いたりすることがあります。

そういったリスクを考慮し、猫がとっさに逃げられるキャットタワーやキャットウォークなどの避難所を設置してあげるよいでしょう。

猫が赤ちゃんに嫉妬しないようにするには?

今まで飼い主さんの愛情は自分だけに注がれていたのに、突然見知らぬ人間の赤ちゃんに愛情を持って行かれたとしたら、猫でさえ強い不安を覚えます。

それは猫が「自分の地位が脅かされている」と考えるからです。

猫にとってみれば、人間の赤ちゃんは新入りに過ぎません。新入りに対するやきもちや嫉妬心が赤ちゃんに働いてしまい、もしかしたら赤ちゃんを傷付けてしまうかもしれません。

そうならないためにも事前に対策を取っておくことが大切です。

赤ちゃんの匂いを認識させる

猫に新しい家族が増えることを理解してもらうためにも、あらかじめ赤ちゃんの匂いを認識させておくとよいでしょう。

検診などで産婦人科に行くときは、看護師さんに協力してもらい、持参したタオルや洋服などにミルクや赤ちゃんの匂いをつけてもらってください。

そしてその匂いを猫に嗅がせ、赤ちゃんの匂いを事前に認識させることで、猫のショックも和らぎます。

赤ちゃんがいてもスキンシップを忘れずに

赤ちゃんを可愛がる時も、並行して猫にも声を掛けたり、体を撫でてあげたりしましょう。

赤ちゃんが起きている時でも、猫とスキンシップを取ってあげることで「自分は赤ちゃんと平等に接してもらっている」と感じ、安心してくれますよ。

まとめ

赤ちゃんと猫が同じ家で暮らすことは決してダメなことではありません。

一緒に暮らすことで「命の大切さ」を知ることができ、心の成長も期待できるからです。

ただし、まだ免疫力が低い新生児のうちは、猫の抜け毛やフケなどが多く舞う環境にいさせないようにしてください。そしてなるべく、赤ちゃんがいる部屋は常に綺麗な環境でいるように、小まめな掃除と空気清浄機を設置するなど工夫しましょう。

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