猫は起きている時間、かなりの時間を毛づくろいに費やしています。これは、それだけ毛づくろいが猫にとって重要な行為だということの証拠といえるでしょう。
本記事では、そんな猫の毛づくろいの意味を解説するとともに、しすぎる・しない場合の原因、注意点を紹介していきます。
毛づくろいする意味って?
猫が自分の体を舐めたり噛んだりして毛づくろいする姿は、猫を飼っている方なら毎日見る光景ではないでしょうか。
しかしなぜ猫が毛づくろいするのか、その心理まで知っている方は意外と少ないかもしれません。
ここでは、猫はなぜ毛づくろいをするのか、その理由を紹介します。
身体を清潔に保つため
猫の毛づくろいには、身体を清潔に保つ効果があります。
猫の舌の表面には【糸状乳頭(しじょうにゅうとう)】という突起が無数にあり、被毛に付着したほこりや、ノミ、ダニといった寄生虫をこれで絡めとることで、皮膚や被毛を清潔な状態に保っているのです。
また、猫の唾液には殺菌作用があり、これも含めて身体をきれいにしています。
体温調節のため
人は汗をかくことで体にこもった熱を放散しますが、猫は汗腺が少ないため汗で体温を調整することはできません。
その代わり、猫は毛づくろいのとき被毛に付いた唾液を蒸発させることで、人間の汗のように体温を下げています。
逆に冬場は毛づくろいすることで被毛の間に空気の層を作り、熱を逃がさないようにしているのです。
リラックスのため
猫はザラザラした舌で身体を舐めることで、脳からセロトニンという脳内物質が分泌されリラックスすることができます。
これは、子猫のときに母猫に毛づくろいしてもらった記憶から、ストレスを感じたり嫌なことがあったりすると、リラックスするために自分の体を舐めるのです。
栄養摂取のため
猫は太陽の光を浴びることによりカルシウムの吸収を助け、骨や歯の発育に関わるビタミンDが体の表面で作られます。
猫は毛づくろいすることで、同時に体の表面にできたビタミンDを体内に取り込んでいるのです。
猫同士のコミュニケーションのため
猫が自分以外の人や猫を舐める姿を見たことがある方も多いでしょう、これは一種の愛情表現で、仲間と認めた相手にしか行いません。
他者に対して行う毛づくろいは、コミュニケーションの意味があるのです。
これは飼い猫だけではなく野良猫も行うことから、猫の本能的な行動といえるでしょう。
毛づくろいのしすぎや同じ場所ばかりは問題かも
毛づくろいは猫にとって普通の行動です。
しかし、「ちょっとやりすぎでは…」と心配になるほど念入りに毛づくろいをするようなら、ストレスや体の不調を疑った方が良いかもしれません。
特に、同じ箇所を執拗に舐め続けているようなら、かゆみや痛みなど、何かしらの異常があるのかもしれません。舐めている部分をチェックして、問題があるようなら動物病院に連れて行ってあげましょう。
毛づくろいをしない場合も問題かも
猫にとって毛づくろいは日課ともいえる行動です。
だからこそ、毛づくろいをしなくなることで、普段は見られないような問題が起こるようになってしまう恐れがあるので、日頃から愛猫の様子を観察するようにしましょう。
では、猫が毛づくろいしない場合、どんな理由が考えられるのでしょうか。
体調不良の可能性
猫が毛づくろいをしなくなる理由の1つとして、何らかの体調不良が考えられます。
病気になり体に痛みがあると、毛づくろいをしたくてもできなくなることもあるので、日常的に愛猫の様子を観察するようにしましょう。
老化のサイン
人間同様、猫も年を重ねるとそれまで当たり前にしていた行動ができなくなったり頻度がガクッと減ったりします。猫の場合、その1つが毛づくろいなのです。
一般的に猫は11歳頃から高齢期になるので、この頃から愛猫の生活環境を変える準備をすると良いかもしれません。
肥満
猫はその柔軟性を活かして、体の隅々まで舌で丁寧に毛づくろいします。
しかし、肥満になると痩せていた時ほど体を自由に動かせなくなるので、毛づくろいの質も頻度も低下するでしょう。
肥満になると病気のリスクが高まるほか、体型的に難しくなることも多くなるなどさまざまな弊害があるので、体型の維持に努めてください。
まとめ
健康のためにも清潔さを維持するためにも、毛づくろいは猫にとってとても重要な行為です。
あまりやりすぎるのも問題ですが、全くやらないのもさまざまなデメリットがあるので、日頃から愛猫の行動を観察して、異常がないか確認することをおすすめします。