猫に暖房はいつから使うべき?
寒い冬を乗り切るには暖房は必要不可欠。
寒すぎてついつい暖めすぎてしまうこともありますが、猫と一緒に過ごす上で最適な室温は何度なのでしょうか。
また猫が寒いときにする仕草や行動、さらには注意すべきポイントについても見ていきましょう。
暖房を開始するべき気温は何度?時期の目安は?
猫にとって快適な温度は長毛種や短毛種、筋肉量の差などによって多少の違いはありますが、適温20〜28℃、湿度は50〜60℃が最適といわれています。
そのため猫が寒いと感じる温度は20℃以下となりますので、20℃を下回ったら暖房が必要ということになります。
ただし、生後6ヶ月未満の子猫やシニア猫については個体差が出てきますので、注意が必要です。なるべく22〜24℃を下回らないように気を付けましょう。
これらを踏まえた上で、猫がいるご家庭はいつから暖房を入れるべきなのでしょうか。暖房の使用が推奨される期間は以下のようになります。
地域別 暖房を使う期間
地域 | 期間 |
北海道~東北地方 | 10月下旬~4月下旬 |
関東地方~中国地方 | 11月中旬~4月 |
四国、九州地方~沖縄 | 11月下旬or12月中旬~4月 |
夜の気温がぐっと下がる頃から暖房を使用したいところです。特に冬の寒さが厳しい地域は、使用する期間も長くなります。
飼い主の外出時に留守番をしてもらう際には、室温がどこまで下がりそうかを予想して対策しましょう。
エアコンを使用すると空気が乾燥しやすくなりますので、そのときには加湿器を使ったり濡れタオルなどを干したりして対策をしてあげてくださいね。
猫は暑さには強いものの、湿度が高すぎると体温をうまく調整することができず、体調を崩してしまう恐れがあります。そのためなるべく室内は、温度と湿度両方を気にするようにしてくださいね。
猫が寒いときの仕草や行動
前述した気温は目安の1つにはなりますが、できれば猫が「寒い」と感じたらそのときに寒さ対策をしてあげたいですよね。
では、どうしたら猫が寒がっているサインに気付いてあげることができるのでしょうか。ここでは猫が寒い時に見せる仕草や行動をご紹介します。
- 体を丸めてジッとしている
- 飼い主の傍や暖房器具から離れない
- 毛布やこたつなどに潜り込む
- 毛が逆立っている
- くしゃみをしたり、体がブルブル震えている
- 窓や扉などの近くに近づかない
- 寝る時間が長くなる
- 食欲は増えるが、水を飲む量が減る
これらの様子が見られたら部屋の温度や湿度を確認し、猫が快適に過ごせる室温にしてあげてくださいね。
子猫やシニア猫は要注意
筋肉量が成猫よりも少ない子猫は、とても寒がりです。特に生後3〜4週以下の子猫に関しては、寒さ対策をしっかりしてあげてください。
まだ自由に動き回ることのない赤ちゃんなので、部屋全体を暖める必要はありません。ベッドをダンボールで囲んであげたり、タオルで包んだ湯たんぽを用意したりして、猫の居場所のみを保温するようにしましょう。
またシニア猫も筋肉量が減り、体力が落ちています。自力で心地よい場所に移動するのも難しくなりますし、急激な温度変化にも弱くなっていることも。
冬場でも室内は25〜28℃を目安にし、年間を通じて一定の室温を保ってあげるようにしてあげてくださいね。
暖房はつけっぱなしが良いの?
できればエアコンやストーブなどをつけっぱなしにするのは控えたいと思う方も多いのではないでしょうか。
電気代や灯油代も気になりますし、家に猫しかいない状態でストーブを使うのはリスクもありますよね。
ここでは、飼い主がいる際の暖房器具の使用から、留守時や夜寝るときにはどうすればよいのかをご紹介します。
一緒にいるときは飼い主を基準にしてOK
1日飼い主が家にいる場合の暖房器具の使用は、基本的に飼い主判断でOKです。飼い主自身が「寒いな」と感じたら、エアコンやヒーターなどの暖房器具を用いて温度調節をしてくださいね。
ただし、エアコンの長時間の使用に注意するべきポイントがあります。これについては後述にてご説明します。
日中のお留守番は暖かい場所を用意しておけば大丈夫
毛布や猫ベッドなど、猫が温まる場所をきちんと用意してあげれば、暖房器具は必要ない場合もあります。
猫は基本寝ていることが大半ですし、留守中はぬくぬく過ごせる場所さえあれば、あまり寒さを心配する必要はないといえるでしょう。
夜寝るときは毛布や湯たんぽを用意
寒さ対策として夜寝る際は、厚手の毛布や湯たんぽがおすすめです。
毛布は適度な弾力と柔らかさが気持ちがよく、なかには母猫を思い出してふみふみする猫もいるほど。中に入れば暖かく、リラックスできるので猫にとって最高の寝床といえるでしょう。
また湯たんぽはお湯の漏れにさえ気を付ければ、火事の心配もなく経済的なので、一家にひとつあると寒い冬場は重宝しますよ。
家庭用暖房器具の安全な使い方と設定温度
猫がいるご家庭が暖房器具を使用する際、どのような点に気を付けながら使用すればよいのでしょうか。
また設定温度は何℃くらいにしておくのがベストなのでしょうか。
エアコン
お手軽でかつ安全に室温を一定に保てるので、エアコンを暖房で使わない手はありません。
しかし、温風によって部屋が乾燥しやすいデメリットもあるので、エアコンを付ける際は加湿器を用意したり、いつでも新鮮な水を飲めるようにしておきましょう。
複数の場所に水を用意してあげると、飲む回数も増えるのでおすすめです。
床暖房、ホットカーペット
床暖房はまんべんなく部屋を暖めることができ、エアコンのように風がないため、ホコリやチリなどを舞い上げる心配がありません。
ホットカーペットに関してはサイズにもよりますが価格が手頃で購入しやすく、敷いた所全体が暖まるため、床冷え防止ができます。また空気が乾燥しづらく、好みの温度設定ができるメリットがあります。
しかし、長時間接触すると低温やけどになる恐れがあるので、なるべく接触面の温度を下げる、カバーやマットを併用するなど工夫してくださいね。
ヒーター
ヒーターには、電気を使って室温を調整する「電気ファンヒーター(セラミックファンヒーター)」と、灯油を燃焼させて暖める「石油ファンヒーター」があります。
電気ファンヒーター(セラミックヒーター)は、電気を使用して暖める暖房器具なのでやけどや火災の心配はほぼありませんが、猫がコンセントを噛んでしまう恐れがあるため、使用する際は近づきすぎないように対策を立てましょう。
次に石油ファンヒーターですが、「部屋がすぐに暖まる」という最大のメリットがあるものの、温風によって空気が乾燥しやすくなります。猫が脱水症状にならないように気を付けてくださいね。
また吹き出し口の温風によりやけどをする恐れもあるため、猫が近づけないように対策を取りましょう。小まめな換気も忘れずに。
こたつ
「猫はこたつで丸くなる〜♪」という歌があるように、猫が大好きなスポットのひとつが「こたつ」。
電気代が安く、部屋が乾燥しにくいというメリットがありますが、猫が長時間こたつの中に入っていると低温やけどや熱中症、脱水症状などを引き起こす可能性があります。
そのためこたつを使用する際は、こたつ布団を1か所少しめくるか、人間用ではなく猫用のこたつを設置してあげるようにしましょう。
湯たんぽ
湯たんぽは猫が自らくっついたり、離れたりすることができますし、猫に安心感をもたらすアイテムとしても重宝されています。
注意する点として、長時間湯たんぽに接していると低体温症になる恐れがあります。特に身動きがあまりできないような子猫や老猫に湯たんぽを使う場合は、定期的に接する面を変えてあげるようにしましょう。
猫が暖房を使うときに気を付けるべきこと
寒い冬の必須アイテム暖房器具は色々な種類が多く販売されていますが、それぞれ使用する上で気を付けるべき点があります。
温度の上がりすぎ
猫は暑さに強いといえど、極端に室温を上げすぎるのも良くありません。
日中温度を上げすぎると、飼い主が寝静まった深夜帯などに室内の温度が急激に下がるような状況も考えられます。あまりに大きな温度差が発生してしまうと体調を崩す恐れがあるので、注意が必要です。
低温やけど
低温やけどの症状は見た目ではわかりづらく、痛みも感じづらいことがあるため、軽傷と勘違いしやすいのですが、普通のやけどより重症化してしまう恐れもあります。
特に猫は冬場になると、暖かい場所から離れず長時間ジッとしていることが多いため、低温やけどになるリスクが非常に高く注意が必要です。
なるべく接触面の温度を下げたり、タオルケットなどを置いたりして低温やけどを防ぐようにしてください。
乾燥・脱水
もともと猫はあまり水を飲まない動物ですが、冬場は特に乾燥していますので意識して水を飲ませるようにしましょう。
冬場は飲み水をぬるま湯にしてあげると、飲水の促進にも繋がるといわれています。
いつでも水分補給ができる環境を整えておくだけではなく、日頃口にするごはんをフードからウェットタイプのものに切り替えてあげてみるのも1つの方法です。
やけどや感電
暖房器具の多くは電化製品でもあるため、やけどや感電にも気を付ける必要があります。
猫は小動物を狩る本能から、ニョロニョロした紐状のものや動くものに敏感です。じゃれているうちに電気コードに噛みついてしまい、感電したりやけどを負ったりすることも少なくありません。
コードを噛み続け、中の電線がむき出しになってしまうと大変危険ですので、使用していない時はコンセントからコードを抜いたり、電気コードカバーを使用したりするなど対策を立てるようにしましょう。
火事・一酸化炭素中毒
ペットの留守番中に火災が発生したり、灯油ストーブによる一酸化炭素中毒が引き起こされたりする事件は、これまでも多く報告されています。
また過去の事故事例として、留守中に猫がガスコンロのスイッチに触れてしまい周辺を焼損させてしまった、ファックス機におしっこをかけてショートさせてしまったなども起きているようです。
こうしたリスクを防ぐためにも、猫だけの留守中はガスの元栓を閉める、電気コードを見えない場所に隠す、電気製品のプラグを抜くなど、万が一に備えるようにしましょう。
猫に適したおすすめ暖房グッズ4選!
寒さが厳しい日は、できるだけ部屋の中を暖かくし、愛猫にとっても快適な空間にしてあげたいもの。
近年、猫に適した暖房グッズが多く販売されているのはご存じでしょうか。猫用の暖房グッズを揃えてあげれば、人間用はいらないといっても過言ではありません。
ここでは、そんな猫用の暖房器具についてご紹介します。
猫用ヒーター
猫用ヒーターは猫が適温と感じる温度設定になっているため、熱中症になる心配が少なく、また火傷をする心配もありません。
しかも使い方が簡単で、安全にも考慮されているので、安心して利用することができますよ。
猫用こたつ
猫にとってこたつは「狭い」「暗い」「暖かい」の3つが揃った最高の空間です。
猫用のこたつは、熱中症や低温やけどが起こりにくい設計で作られているので、安心して使用することができます。
ヒーター箇所は保護網になっている他、コードも噛みついても大丈夫なように頑丈に作られているものが多いです。
ペット用ホットカーペット
ペット用のホットカーペットは、電気代を安く抑えることができる大変優秀な暖房器具です。一晩中付けても10円代で収まることがあるため、家計にも優しいといえます。
低温やけどが心配な方は、ホットカーペットの上にブランケットや毛布などを敷いてあげるとよいですよ。猫は暖かい場所に長時間居座るため、なるべく厚めの布や布を重ねて使用するようにしてくださいね。
もぐりこみスタイルのベッド
いつも使用しているベッドを冬仕様のふわふわな素材に切り替えてあげるだけでも、暖かさは断然違います。電源なしで安心して使うことができるのも大きなメリットです。
もぐりこみスタイルのベッドは狭い空間のため、猫もリラックスして体を休めることができますよ。
冬仕様のベッドは、ハウス型・ドーム型・ハンモック型など種類が豊富で、サイズもさまざまなものが販売されています。おしゃれでかわいいものも多くありますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
暖房をつけたら猫が鳴くときの理由と対処法
みなさんの愛猫は、暖房をつけたら「アオーン」などと鳴くことはありませんか。
暖かくなって嬉しいのかな?と思いがちですが、実際はどうなのでしょうか。また頻繁に鳴く場合の対処法はあるのでしょうか。
暖房をつけたら猫が鳴くのはなぜ?
暖房を付けると猫が鳴く理由について、はっきりと解明はされていませんが、いくつか考えられていることがあります。
例えば、猫は非常に敏感な動物なので「寒さ」と「普段と違う状況」の2つが重なると、ストレスを感じることが多いそうです。
そのため部屋の中が普段よりも暑かったりすると、飼い主に対して何かを訴えるかのように「アオーン」などと鳴くのです。
それ以外にもエアコンの音を不快に感じたり、ガスファンヒーターの灯油の臭いを異常事態だと感じ、鳴いているのかもしれません。
どちらにしても猫が必要以上に鳴くということは猫にとって嫌なことがある、または何かしら訴えたいことがあるということなのでしょう。
暖房に猫が鳴いてしまうときの対処法
暖房による暑さが原因の場合は、室温を猫が快適と感じる22〜24℃くらいに設定するようにしましょう。
また暖房が効いている部屋と、少しひんやりとした部屋に行き来できるようにしてみてください。部屋ごとの室温を変えてあげることで、猫自身が好みの温度の部屋を選ぶことができ、鳴くことが減るかもしれません。
暖房器具の音を不快に感じているようであれば、暖房を付ける前に猫を違う部屋に連れて行き、音がしなくなったら部屋に入れてあげる、もしくはエアコンの代わりに音が鳴らないホットカーペットやこたつなどに切り替えてあげてもよいかもしれませんね。
灯油の臭いなどが原因であれば定期的に換気をするなど、飼い主自身が率先して動いてあげましょう。
まとめ
愛猫と一緒に寒さを乗り切るためには、暖房器具の正しい使い方を知るのはもちろんのこと、やけどや乾燥、熱中症や脱水症状などあらかじめ対策をしっかり取ることが大切です。
また、その際正しい判断ができるよう愛猫の平熱についてもチェックしておくと共に、普段からスキンシップをたくさん取り、小さな異変にも気付けるようにすると安心ですよ。