老猫がトイレをはみ出す、失敗する原因と対策方法

猫も歳を重ねると体力や筋力をはじめ、さまざまな機能が衰えていきます。

そして、その衰えはおしっこやうんちなどのトイレ事情に影響を及ぼすこともあるでしょう。特に、猫はきれい好きでトイレの環境が悪いと排泄行為自体を嫌がるようになることも。

今回は、そんな老猫のトイレ事情について、原因や対策を解説していきます。

高齢猫がトイレをはみ出す、失敗する原因

老猫 トイレ

人間も、高齢になればトイレで困る方が多いでしょう。
それは猫も同様で、老猫になると体中のさまざまな機能が衰えることで、それが排泄の問題として現れます。

では、具体的にどんな原因でトイレを失敗するようになるのでしょうか。

トイレの大きさ・ふちの高さ

老猫の粗相は、トイレの大きさやふちの高さを変えただけで改善する場合もあります。

高齢になると関節の痛みや筋力の低下で、トイレをまたげなくなる場合が少なくありません。また、足がトイレのふちにかかっているようなら、体のサイズに比べてトイレが狭い可能性があります。

こうした問題を解決するためには、トイレを変えると良いでしょう。
トイレの広さは、猫の体長の1.5倍の大きさが目安です。また、ふちを跨ぎやすいように、敷居が低いトイレを選ぶのもおすすめです。

トイレの場所が悪い・汚れている

猫はきれい好きな動物です。

そのため、トイレが汚れているとそこでの排泄を避け、トイレ以外で排泄しようとすることも珍しくありません。

そうなると、粗相する可能性も高くなってしまうので、猫のトイレは常に清潔な状態を保つようにしましょう。

トイレの形状・トイレの砂

猫には、トイレの形状や砂にも好みがあります。

そのため、愛猫の好みに合わない場合、不快感からトイレでの排泄を嫌がるかもしれません。

そうなると、トイレ以外の場所――例えば柔らかい毛布の上などで排泄するようになってしまうでしょう。

スプレー行動

猫がトイレ以外で排泄してしまう理由として、スプレー行動が考えられます。

スプレー行動とはマーキング行為の1種で、通常の排泄とは違い、立ったまま腰を高く上げ、後方に向かってスプレー状のおしっこをすることです。

病気の可能性

猫が粗相する理由として、病気の可能性も否定できません。
特に、猫は腎臓や膀胱などの病気にかかりやすいので、排泄に影響が出やすく、トイレをはみ出してしまう場合は、尿に血が混じっていないかなど確認をしてください。

排泄がしにくそうだったり頻繁に鳴いたりするようであれば、痛みを感じているかもしれないので、一度動物病院で診察してもらってください。

おむつなど失敗に対する対策方法

老猫になり、粗相することが自然なことであるとはいえ、そのまま放置するわけにはいきません。

では、どのような対策を講じれば良いのでしょうか。

おむつは最終手段

もし、どうしても愛猫の粗相に困っているようであれば、おむつを着用させるのも1つの手段です。ただし、猫は何かを身に付けることを嫌がる傾向があるので、おむつは最終手段と考えてください。

例えば、『認知症で排泄をコントロールできない』『寝たまましてしまう』など、どうしても自力での排泄が無理なようなら、おむつを履かせましょう。

おむつはこまめに交換して、その都度ウエットシートなどでお尻まわりをきれいに拭いてあげましょう。

おすすめのトイレ

高齢になると足腰の衰えが顕著になるので、それまで問題なく使えていたトイレであっても不自由するようになります。

ちょっとした段差であっても引っかかるようになるので、トイレのまえにスロープやステップを設置すると良いでしょう。設置するのは、滑りにくく爪に優しい素材の物がおすすめです。

また、高齢になると便秘や血尿などのトラブルも増えてくるので、常に様子を確認できるようオープンタイプのトイレにすると安心です。

トイレの砂選びも大切

猫砂にはさまざまな種類があり、紙や鉱物、おからなどの素材でできています。

違いは主に猫の好みになるので、愛猫がどんな素材の猫砂を好むのか、色々試してみると良いでしょう。

また、中にはおしっこをかけることで変色する猫砂もありますが、これでは尿の色から体調を知ることができないので、おすすめできません。

同様に、多少掃除をサボっても大丈夫な猫砂も不調に気付きにくくなってしまうので、避けた方が無難です。

トイレの置き場所

猫のトイレは、置く場所も重要です。

猫は基本的に人の目があるとトイレに集中できなくなってしまいます。また、洗濯機やテレビの近くなど、大きな音がする場所や、人の出入りが多い場所では落ち着けないので、トイレの設置場所には不向きです。

加えて、高齢になり足腰が衰えると移動が大変になるので、日常の生活スペースからあまり離れた場所に置かないようにしましょう。

また、突然トイレの場所を変えると、猫はそれだけでストレスを感じてしまうので、移動する場合は少しずつ移動するか、いっそのことトイレの数を増やしてしまうことをおすすめします。

叱るのは絶対にNG

老猫になると粗相してしまうことも増えますが、そのことで叱るのは絶対に止めてください。そもそも、猫は叱られている理由を理解できません。

加齢が原因の場合は叱られたからといって直せるわけでありませんし、叱られたことでストレスを感じて、状況が悪化することも考えられます。

失敗したときは徹底的に掃除

愛猫が粗相をしてしまったら、飼い主がやるべき行動は『徹底的な掃除』です。

猫は自分のニオイを頼りに排泄する場所を決めるので、ニオイが残っていると再び同じ場所で粗相してしまうことになります。

そのため、粗相したらすぐその場で徹底的に掃除をして、痕跡を完全に消し去るようにしてください。

高齢猫のトイレの回数はどのくらい

成猫が1日にするおしっこの回数は2~3回ですが、高齢になると回数が増え、トイレに滞在する時間も長くなります。

その理由として、膀胱の筋力が弱まり尿を溜めておく機能が衰えるほか、腎機能の衰えによる影響が考えられます。

ただし、排泄の頻度は増えるだけでなく、食欲の低下によって減ることも珍しくありません。そのため、日頃からトイレの回数や時間をメモしておき、健康の管理に役立てると良いでしょう。

便秘しているときは?

猫も年老いると、粗相だけでなく便秘になることが増えていきます。

少しくらいであればそれほど大事ではありませんが、慢性化すると、体重が落ちたり嘔吐したり、さまざまな不調が現れるので、決して無視できません。

加齢による便秘

高齢になると筋力や体力が衰え、運動量も低下するので、排泄に必要な筋力や腸の動きが鈍りどうしても便秘になりやすくなってしまいます。

便秘への対策

加齢に伴う便秘の対策として、飼い主さんによるお腹マッサージがおすすめです。これは愛猫とのスキンシップにもなるので、お腹を優しく刺激してあげることで排泄を促すだけでなく、安心させられる効果も期待できます。

ただし、お腹が張るほどの便秘になっている場合は、お腹をマッサージすると痛みを伴うことになるので無理は禁物です。

基本的には、適度な運動とこまめな水分補給を心掛け、たまにスキンシップも兼ねてマッサージをしてあげると良いでしょう。

まとめ

人減と同様、猫も年老いることで排泄が思うようにいかなくなり、粗相してしまうことが増えていきます。

原因はさまざまですが、やはり老化に伴う筋力や体力の低下が大きいでしょう。

猫の老化を実感したら、今回の内容を参考に生活環境などを一度見直してみてください。

また、場合によっては病気が原因の場合もあるので、いつもと様子が違う用なら動物病院で診てもらいましょう。

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