老猫との暮らし方は?長生きしてもらうためにできること

猫も年齢を重ねて老猫になれば、それまでと同じ生活は難しくなります。

ちなみに、老猫の正確な読み方は『ろうびょう』と辞書には記されています。
場合によって『おいねこ』と読むこともありますが、俳句や詩など一部のみで、『ろうねこ』ではありません。

それでは、老猫になったらどのような点に気を付けて飼育すべきなのか、確認していきましょう。

猫の老化って?

老猫

猫も年齢を重ねると身体的にさまざまな老化現象が起こります。

しかし、厳密に何歳から老猫と決まっているわけではなく、個体差もあるため、次第に老化が認められることで老猫と呼ばれるようになるのです。

では、猫は老化するとどのような変化が見られるようになるのでしょうか。

毛がパサつく

猫はグルーミングといって、自分の毛を舐めて被毛の清潔さや美しさを維持しますが、年齢を重ね高齢になるとその回数が減っていきます。

また、体の水分量が減ることで慢性的な脱水や腎機能障害などが起こり、若い頃に比べて毛がパサついてしまいます。

毎日のスキンシップで、愛猫の被毛の感じが変わってきたことを感じたら、老猫になってきた証かもしれません。

水を飲む量が増える

老猫になったときの変化の1つとして、お水を飲む量や排尿の量が増加します。

これは、老化に伴う疾患の影響で現れる体の変化なので、以前よりも水を飲むことが多くなったと感じたら、一度病院で診察してもらうと良いでしょう。

関節の衰え

猫は高齢になると、関節が衰え始めるとともに関節炎になるリスクが高くなります。猫は高い所へ上るのが好きな動物ですが、関節に不具合を抱えるようになると、それも難しくなるでしょう。

そのため、階段やスロープを設置して、高い場所への移動をしやすくするなど、猫が生活しやすいように環境を見直してください。

口内環境の変化

老猫になると、口腔内の環境も変化し歯周病になりやすくなってしまいます。なんとなく口がにおうなど、口腔内のちょっとした変化に気づいたら、老猫になった証といえるでしょう。

口腔内の環境が悪くなると毎日の食事にも影響が出るので、健康の維持にも問題が生じてしまいます。可能であれば毎日口腔内のケアを行い、少しでも良い環境を維持するようにしましょう。

鳴くことが増える・怒りっぽくなる

猫は高齢になると、怒りっぽくなったり良く鳴くようになったり、それまでとは違った行動を見せるようになります。これは、ホルモンの変化による体調の変化が原因で、そのほかにもさまざまな老化の兆候が見られるようになるでしょう。

寝ている時間が長くなる

老猫になると、筋力や体力の衰え、先述した関節の衰えなどが原因で、若い頃と比べて動くことが少なくなり寝て過ごす時間が増えていきます。

これは慢性的な運動不足にもつながり、肥満のリスクが高くなることで健康にも悪い影響が出てくるでしょう。

こうした変化はストレスにもつながるので、日頃から無理のない範囲で適度な運動を心がけ、生活の質の維持を心がけてください。

痩せてくる

老猫になると筋力が衰えることで痩せていきます。また、口腔内の変化や内臓の衰えもあり、食欲が低下することも珍しくありません。

場合によっては何らかの体調不良が原因で、食事量自体に大きな変化がないのに痩せてしまうこともあります。

これは食事はできていることで見逃してしまいがちなので、定期的に体重を量って変化を記録に残しておきましょう。

長生きしてもらうためにできること

生き物である以上、いずれ死は訪れます。

しかし、飼い主であれば愛猫にはできるだけ長く生きてほしいと思うもの。できる限りのお世話をしてあげたいですよね。

では、愛猫に長生きしてもらうためには、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。

過ごしやすい空間作り

愛猫に長生きしてもらうために、日常生活で不自由なく暮らせるよう、極力過ごしやすい生活環境を用意してあげましょう。

具体的には、安眠できるように寝床の環境を静かで落ち着いた環境にしてあげてください。
上述したように、高齢になると寝て過ごす時間が長くなるので、これはかなり重要です。

また、運動能力が衰えるので、移動しやすい生活導線を作ってあげると、ストレスなく過ごすことができるでしょう。

新しい刺激は与えないようにする

猫は新しい刺激にとても弱い動物です。

特に、老猫になるとその傾向が強くなるので、多頭飼いや引っ越しといった生活環境の変化は強いストレスになり、場合によっては健康に害を及ぼすことも。

ひとりで過ごせる時間や場所を用意してあげるなど、穏やかに暮らせるよう若い頃以上に配慮してあげましょう。

食事はどうすればいい?

生きるためには食べなければなりません。

しかし、老猫になれば歯や筋力が衰えるほか、内蔵の機能も衰えるので、若い頃と同じ食事を続けることは難しくなるでしょう。

では、愛猫が年老いたら、どのような食事に切り替えれば良いのでしょうか。
ここでは、高齢猫向けの食事や食事の与え方を解説していきます。

7歳を過ぎたらシニア用に切り替える

子猫から成猫になって与えるフードを切り替えるように、老猫になったらフードをシニア用に切り替えましょう。

老猫になると内臓の機能が衰え消化吸収が弱くなっていくので、それまでと同じ食事はできなくなります。老猫に合わせて、消化が良く栄養価が高い物を与えるようにしましょう。

最もお手軽なのが、『老猫用』『シニア用』の市販フードです。
ただし、老猫は運動する機会も少なくなるので、肥満にさせないよう食事量をコントロールしてあげてください。

食べやすさを第一に

猫も人間同様、高齢になると食欲が衰えるので、どんなに栄養価が高く質の良い食事を用意してもなかなか食べてくれないかもしれません。

そのため、老猫の食事で最も意識したいのは、ごはんの食べやすさです。

高齢になると顎の筋力も衰えるので、ドライフードを与える場合、細かく砕いたりお湯でふやかしたり、食べやすいように手を加えてあげると良いでしょう。

ウェットタイプのフードなら嗜好性が高まるので、食欲がない場合はおすすめです。

食事の体勢にも気を使ってあげる

筋力が衰えた老猫にとって、食事をするときの体勢が辛いこともあります。

食器に顔を近づけるために屈むことが難しくなるので、フードを入れる器を台の上に置くなど、少しでも食べやすいようにしてあげましょう。

食器の位置が高くなれば、猫の方から食器に顔を近づけなくても良くなるので、食事の姿勢が楽になります。

ごはんを食べなくなってきた場合

老猫になれば、口腔内の環境の変化や内臓の衰えから食欲も落ちてしまいます。それまでと同じように食事を与えてもなかなか食べてくれないようなら、飼い主さんがスプーンで直接口に運んであげましょう。

それでも食べてくれないようなら、一度獣医師さんに相談してみてください。
場合によっては、スポイトなどを使って流動食を直接口の中に入れてあげるといった補助が必要です。

水分補給も大切

食事以上に重要なのが水分補給です。高齢になると腎臓機能が衰えるため、水分補給が不十分だと脱水症状になりやすくなってしまいます。

そのため、水を入れた容器を複数の場所に設置して、いつでも気軽に水分補給ができるようにすると良いでしょう。ただし飲み水は鮮度が大事なので、こまめに交換してください。

トイレはどうすればいい?

人間もそうですが、猫も高齢になれば若い頃とはトイレ事情が変わってきます。

ここでは、愛猫が高齢になって、それまでと同じように排泄できなくなったときにどんな環境を整え、どんな介助をしてあげれば良いのか解説していきます。

オープンなタイプのトイレがおすすめ

老猫になり足腰が衰えると、トイレに間に合わなくなこともあります。そんな場合は、トイレの設置場所やトイレ周りの環境を見直しましょう。

どうしてもトイレに間に合わないようなら、トイレの数自体を増やして、トイレに行きやすくしてください。また、トイレのフチを越えることが難しいようなら、階段やスロープを置くのもおすすめです。

それまでドームタイプのトイレを使っていたのなら、オープンタイプのトイレに変えるのも良いでしょう。

猫砂は健康チェックがしやすいものを

猫のトイレに欠かせない猫砂には、紙系や鉱物系、おから系など、さまざまな素材のものがあります。素材には猫の好みがあるため、好みでない素材だとそこで排泄するのを嫌がるかもしれません。
そのため、基本的には猫が好む猫砂を使うと良いでしょう。

また、猫砂の中にはおしっこをかけると変色するものや掃除の頻度が少なくでも問題ないものもあります。こうした猫砂は便利な反面、高齢だと体調管理が難しくなってしまうので、『健康チェックがしやすいかどうか』を重視して選ぶと良いでしょう。

トイレの介助方法

人間同様、猫も高齢になればトイレの介助が必要になることがあります。愛猫の足腰が衰えて自分でトイレに行くことが困難なようなら、飼い主さんが抱っこしてトイレへ連れて行ってください。

日頃から愛猫の様子を観察して、どんなときにトイレに行きたがるのか把握しておけば、介助もしやすいでしょう。

トイレに連れて行ったら、優しく腰を支えて排泄を手伝ってください。上手にできたら「上手だね、偉いね」と声をかけて撫でてあげれば、それ以降も安心して排泄できるでしょう。

お尻まわりを清潔に保つ

お尻周りは、特に汚れやすい部位です。排泄後は細菌の増殖を防ぐため、水で濡らし絞ったガーゼや市販のおしり拭きシートを使って、お尻周りを拭き清潔に保ちましょう。

老猫になると抵抗力が下がり感染症リスクが高くなるため、若い頃よりも意識してお手入れしてあげてください。

爪のお手入れは?

猫も年老いると、寝たきりになることが多くなり、爪とぎなどの自分のお手入れをする頻度が減っていきます。その分、飼い主がお手入れの手伝いをして、フォローしてあげる必要があるでしょう。

老猫は爪が伸びやすい

老猫は筋力や体力の低下から運動量が減り、爪とぎも少なくなっていきます。

運動しなくなると爪が削れることも少なくなるので、必然的に爪が伸びてしまいます。加えて、高齢になるとそれまで何かとしていた爪とぎをしなくなるので、飼い主がお手入れしてあげないと、爪が太く巻いてしまうことに。

猫の爪は、構造上伸びすぎると巻き爪になり肉球に刺さってしまうことになります。また、絨毯やカーペットに引っかかりやすくなり、そのまま根元から折れて大怪我してしまうことにもなりかねません。

こまめにチェックして切ってあげる

老猫になったら爪が伸びっぱなしになりがちなので、こまめにチェックして飼い主さんが定期的に爪切りをしてあげてください。

高齢猫の厚くなった爪を一度に切ろうとするのは大変なので、切れ味の良い爪切りで短時間にすませるようにしましょう。

時間をかけると猫が嫌がってしまうので、無理させないよう短時間で、嫌がり始めたら日を改めて再度挑戦してください。

お手入れは?お風呂は入れるべき?

猫はきれい好きな動物で、基本的には自分でグルーミングすることで清潔さを保つようにはしていますが、高齢になるとそれもままならなくなります。

しかし、きれい好きであることに変わりはないので、飼い主がお手入れを手助けしてあげましょう。

お風呂の頻度と必要性

猫は元々きれい好きな動物ですが、老猫になると代謝機能が衰え、若い頃と比べてグルーミングしなくなるので、清潔さを保つために定期的なシャンプーやトリミングが必要になってきます。

ただし、お風呂やシャンプーが嫌いな猫は多いので、無理をさせないように愛猫に最適な頻度でお手入れしてあげてください。

ブラッシング

猫は高齢になると体の柔軟性がなくなり、若い頃のように隅々まで毛づくろいをすることができなくなります。後足や肛門の辺りは自分ではグルーミングできなくなるので、飼い主がブラッシングしてあげる必要があるでしょう。

老猫の毛はとても抜けやすくなっているので、ブラッシングはゆっくり丁寧に、優しくしてあげてください。

歯磨き

老猫になれば顎の筋力も弱くなるので、若い頃に比べ食事はウェットフードなど比較的柔らかいものを食べるようになります。

柔らかいフードは食べやすくなる反面、歯の隙間に汚れが溜まりやすいので、飼い主が歯磨きをしてあげる必要があります。

まとめ

人間同様、猫も高齢になると心身ともにさまざまな変化が現れます。

それまで当たり前にできていたことが、老猫になるとできなくなることも増えていくので、その分飼い主が手助けしてあげなければならないことも増えていくでしょう。

今回の記事の内容を参考に、愛猫が年老いたときのために、どんな準備をしておけば良いのか、早めに考えておくことをおすすめします。

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