おうちにいる猫に対し「臭い」と感じたことはありませんか。
本来猫はニオイが少ないため、鼻に付くニオイを放つことはありません。
しかしなんらかの原因により猫の体臭やトイレを臭くしているのです。その原因とはいったい何なのでしょうか。
ここでは、猫の体臭やトイレなどが臭くなる原因や対策について解説します。
体臭の原因は?対策方法は?
猫は元々体臭が少ない動物です。頻繁に毛づくろいや日向ぼっこを行い、体を清潔な状態に保っているからです。
また猫は自ら快適な環境を作ろうとするため、日々のケアはもちろんのこと、汚い場所には近寄ろうとしません。その理由は、自らのニオイを残さないようにするためです。
猫はもともと狩猟動物ですので、獲物に自分の存在を気づかれないようニオイを消す習性があります。
では猫のニオイが気になった場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。
猫が臭い原因
猫が臭う原因は大きく分けて2つ考えられます。
1.体臭
気温や湿度が高い雨の日などは、ニオイを作る微生物が活発に活動するため、ニオイが強烈に感じられます。
2.トイレのニオイ
排泄物の処理を怠り、トイレを不衛生の状況にしていると強烈なニオイが発生します。これも微生物がオシッコやウンチを分解し、アンモニア臭を発生させることが原因です。
体臭対策はどうすればいい?
動物は、皮脂腺と汗(アポクリン汗腺)からの分泌物を細菌が分解し、体臭を発生させます。
皮脂腺や汗は、肛門まわりやしっぽの付け根、耳や足の裏などに多くあるため、体臭を防ぐにはこの部分を丁寧にお手入れすることが大切です。
猫自身の毛づくろいにプラスして、飼い主さんがブラッシングを行ってあげましょう。そうすれば体臭を感じることはほとんどありません。
もしも体の一部が臭うようであれば、皮膚炎を患っていたり、ケガをして傷口が化膿していたりするなど、何かしら体の異常があるかもしれません。一度、動物病院で相談してみるとよいでしょう。
カーペットなどについたニオイを消すのも大事
ペットを飼っていると、ペットがいる空間に特有のニオイが部屋中に広がります。
その原因はペット由来のニオイと、家庭由来のさまざまなニオイが混ざり合った「お部屋複合臭」です。
お部屋複合臭はカーペットを始め、ペットの寝床やソファなどの布製品に付き、ペットがいる部屋全体に漂います。
普段なかなか洗えないカーペットやソファなどは、小まめに布製品用の消臭スプレー(ペットに害のない製品)を吹きかけたり、ニオイの吸収や酸性の汚れを中和して落とす重曹を振り掛け、掃除機で吸い取ってみましょう。
そうすることで、お部屋複合臭を軽減できますよ。
こまめな換気も
窓を閉め切った状態でいると、ニオイがこもってしまいます。
なるべく家にいる時は窓を開けたり、換気扇や空気清浄機を使用したりして小まめな換気を行いましょう。
トイレが臭い原因と対策
猫を飼っている人の悩みの種でもある「トイレのニオイ」。
あの独特なツーンとしたアンモニア臭は、どうして部屋中に漂ってしまうのでしょうか。またニオイを取り除くことは可能なのでしょうか。
トイレが臭くなるのは?
猫のオシッコは、アミノ酸の一種「フェリニン」という物質が空気に触れることで、強い刺激臭を持つ「チオール」という物質に変化します。
フェリニンの生成には、腎臓の尿細管の細胞内で作られる「コーキシン」というタンパク質が関係しています。フェリニンとコーキシンは猫のオシッコの中に存在し、特に去勢していないオス猫のオシッコに多く含まれているといわれています。
また、細菌性の膀胱炎を患うとアンモニア臭が強くなり、逆に腎臓などの病気によってはオシッコの量が増え薄くなるのでニオイを感じなくなることも。特にウンチの臭いの変化についても要注意です。
猫の排泄物のニオイは、健康を判断するものさしでもあるのです。
トイレのニオイ対策
猫のトイレ臭を少しでも軽減するためには、常にトイレを清潔に保つことが大切です。
ウンチやオシッコを長時間放置せずに取り除き、トイレ周りも抗菌タイプのシートで拭くようにしましょう。
またトイレの臭いを抑えるためにも、トイレの容器や砂選びも大切です。最近では色々なタイプのものが販売されていますので検討してみてくださいね。
口臭の原因と対策
愛猫があくびをした時や一緒に寝ている時など、ふとした時に「猫の口が臭い」と感じたことはありませんか。
猫の口が臭い原因は主に2つ考えられます。
口臭の原因①「口腔内のケア不足」
猫の健康管理でうっかり見落としがちなのが「口腔内」。
お口のケアをしていないと食べかすがたまって歯垢が付き、それが細菌の温床となり口臭が発生します。
細菌の繁殖を防ぐためにも、若い頃から歯磨きなどの口腔ケアを行うようにし、口臭や口腔疾患の予防をしていきましょう。
口臭の原因②「病気の可能性」
3歳以上の猫の約80%は歯周病、もしくは歯周病予備軍だといわれています。特に高齢の猫に多く見られ、歯肉から出血したり、歯のぐらつきや痛みを生じることがあります。
また「水をよく飲む」「ボーっとしていることが多い」「元気や食欲がない」などの症状とともに、口臭が気になる場合は、もしかしたら病気の可能性も考えられます。
これらの症状が見受けられたらそのままにせず、かかりつけの動物病院で診てもらうようにしましょう。
よだれが出ているのは危険信号かも
猫は犬と違い、よだれを垂らすことはありません。もしも口からよだれを垂らしていたら何らかの異常があると考えられます。
口を気にする素振りや、口臭が酷いようでしたら動物病院を受診しましょう。
口臭対策
口臭の原因となる歯石は、一度ついてしまうと動物病院で全身麻酔をしてもらい、専用の機器を使用しての歯石除去が必要になります。
まだ歯石がついていない段階であれば、日頃から歯磨きをすることで口臭や口腔内トラブルを防ぐことができます。
まずはデンタルシートなどを使用して少しずつ始めていき、徐々に歯ブラシに慣れさせていきましょう。できれば永久歯が生え揃う生後4~6ヶ月頃から歯を触らせてもらえるように、口の中や口周りを触るスキンシップをしていくことをおすすめします。
どうしても歯磨きをさせてくれない場合は、口腔内細菌の増殖や歯石の付着を抑えるデンタルスナックやサプリメントなどがありますので、それらを与えてみるとよいでしょう。
ただし、これらは補助的なものなので、できる範囲で少しずつ歯磨きにチャレンジしていってみてくださいね。
おしりのニオイの原因は?対策は?
猫がおしりをスリスリとこすり付けて歩く姿を見たことはありませんか。
ネット上では通称「猫戦車」と呼ばれるこの仕草は、おしりに何らかの違和感がある証拠でもあります。
猫にも犬と同じように肛門腺があるため、肛門トラブルを引き起こしている可能性があります。
日頃からおしり周りのチェックとケアを怠らないことがとても大切です。
おしりが臭う原因
猫の肛門には2つの「肛門嚢(こうもんのう)」という袋があり、肛門腺から分泌された液体が溜まっています。
猫は自分の縄張りを主張するためにおしっこの他に、この肛門嚢を使用します。
またスカンクがニオイを出して敵から身を守るのと同様に、猫も驚いた時や興奮した時、排泄時に分泌液が肛門嚢から排泄されることもあります。
猫のおしりから強烈なニオイを感じた時は、分泌液を排出した直後といえるでしょう。
おしりのニオイ対策
肛門腺から出た分泌液をうまく排泄できない場合、肛門腺絞りをする必要があります。特にシニア猫は自然に排出ができなくなるため、飼い主さんがしてあげてください。
肛門腺絞りの方法としては、以下の通りです。
- 左手でしっぽの付け根を軽く持つ
- 右手で肛門下の部分を指で押さえる
- 押さえたところを下から上に押し上げ、揉むようにする
ポイントとしては、肛門を中心として時計の4時と8時の位置で指を押さえ、押し上げるようにして絞ります。そうすると、肛門から悪臭のある膿のようなものが出てきます。この時手に付くと大変なので、ティッシュなどを挟んで行うようにしましょう。
ただ家で行うのは中々大変だと思うので、難しいようでしたら動物病院でお願いするのが良いかもしれません。
おしりが臭う原因は、肛門から出た分泌液が原因です。自分で排泄できていれば問題ありませんが、頻繁におしりを気にしたり、引きずったりする仕草が見られたりする場合は、動物病院を受診するようにしましょう。
まとめ
猫の主なニオイの原因としては「体臭」「トイレのニオイ」「口臭」「肛門」の4つだということがわかりました。
これらを放っておくと、病気を悪化させてしまう恐れがあります。猫のニオイを防ぐというよりも、猫の健康を維持するために、飼い主さんが率先して清潔な環境を整えてあげるようにしましょう。