猫が飼い主を舐める意味5つ
猫が飼い主の髪の毛や顔、手や指などを舐めてくることがあるかと思います。その愛らしい姿を見て、思わず笑みが溢れてしまう飼い主さんも多いのでは?
実は猫にとって舐める行為の多くは『愛情表現』の1つといわれていますが、それ以外にも色々な理由があるといわれています。
ここでは猫が飼い主を舐める理由についてみていきましょう。
愛情表現
まずひとつ目に、猫が飼い主をペロペロ舐めるのは愛情表現のしるし。
これは親猫が子猫に対して体を舐めるように「大切な存在だよ」「大好きだよ」ということを飼い主に伝えているのです。
特に猫が顔を舐めてきたら、それは最大の愛情表現といっても過言ではありません。
あのザラザラの舌で顔を舐められるのは少々痛いですが、飼い主のことが大好きだからこその行動なので、できれば思う存分その気持ちに応えてあげてくださいね。
お礼
ブラッシングをし終わった後、愛猫が手をペロペロ舐めてきた場合は「綺麗にしてくれてありがとう」というお礼の意味合いが込められています。
猫は仲間からグルーミングをされると、そのお返しにグルーミングをする行動をすることがあります。そのため、ブラッシング後に舐めてきたら「お返しだよ」と舐めているのかもしれません。
この行為は「アログルーミング」と呼ばれ、よほど親密な関係でないと見られない行動です。もしも猫からお返しをもらえたら、それは良い信頼関係が築けている証拠です。
敵意がないことの表現
猫は初対面の人に対して、ペロペロと手を舐めることがあります。これは「あなたに敵意はありません」と伝えているそうですよ。
慣れないにおいを消したい
猫は愛情表現以外にも舐めることがあります。
例えば、においの強い足の裏を好んで舐めたり、汗をかいた飼い主の顔を舐めてきたりした場合は「いつもと違う慣れないにおいを消したい」という思いが強く関わっているからといわれています。
要求
朝方や深夜遅くに飼い主の手や顔を舐めてくる場合は、何かを要求していることが多いです。
例えば「遊んで欲しい」「ごはんが欲しい」「トイレが汚い」など、飼い主に何かをして欲しいという気持ちから、ペロペロと舐めて要求を伝えているのです。
朝寝坊をしたときであれば「早く起きて!」という意味かもしれませんね。
髪の毛や化粧水、ハンドクリームは舐めさせないで
前述で髪の毛を舐めるのは「愛情表現の1つ」とお伝えしましたが、なるべく髪の毛を舐めさせるのは止めましょう。
その理由は、シャンプーやコンディショナーなどが流しきれず髪に残っている可能性があるからです。たとえ無添加やオーガニック成分のものであっても、猫にとって体によいものではありません。
猫が舐めないようにするためにも、髪を舐めたら「ダメ」と注意したり、猫の苦手な香りである柑橘系のシャンプーを活用したりして、舐めさせないようにしましょう。
化粧水や化粧品がついた顔や、ハンドクリームが付いた手足なども同様です。
愛猫に舐められるのはとても嬉しいことですが、愛猫の健康のためにもむやみに舐めさせないよう気を付けるようにしてくださいね。
甘噛みには別の理由がある
猫の甘噛みは愛情表現、かつ、甘えたい気持ちの表れ。決して敵意の表れではなく、飼い主に構って欲しくてじゃれているのです。
また猫はグルーミング中に歯を使うため、飼い主の手に噛みついてしまうのも毛づくろいの一貫になっているのかもしれません。
愛猫が飼い主をペロペロ舐めているときに急に甘噛みしてきたら、それはあなたのことを大切に思っている証拠なのでしょう。
猫が物を舐めるのはなぜ?放っておいても大丈夫?
猫は、飼い主の顔や手以外の物に対しても舐める行動が多く見られます。
なぜ猫は物を舐めてしまうのでしょうか。また物を舐めていた場合、放っておいても問題はないのでしょうか。
ビニールを舐める
猫は気になるものを見つけると、においを嗅いで害がないか確認後、口に入れて感触を確かめる習性があります。そのため、ビニールを見つけると思わず舐めてしまうことがあるのです。
またビニールに食品やにおいが残っていると、それが気になり一生懸命舐める猫や、ビニールを噛んだ時の触感を気に入り噛んでしまう猫も少なくありません。
しかし猫がビニールを舐めるのは誤飲の危険性がありますので、止めさせるようにしてくださいね。万が一誤って食べてしまったら、危険な病気を引き起こしてしまう原因となることも考えられます。
毛布を舐める
猫が毛布や布団を舐めたり、噛んだり…はたまた吸ったりしているこの行為、実はリラックスしている証拠といわれています。
彼らにとってこの行動は至福の時間であり、母猫を思い出しながら毛布や布団などをチュパチュパ吸ったり、舐めたりしているのです。
しかし毛布を舐めるだけで終わらず、食べてしまうことを繰り返す「ウールサッキング」という行動に発展したら、大変危険です。繰り返されるようであれば、かかりつけの動物病院に相談するとよいでしょう。
猫が毛布を少しだけ吸う程度であれば問題はないのですが、嚙みちぎって飲み込んでしまうと消化できず腸に溜まってしまい、場合によっては手術しなくてはいけなくなります。
カーペットを舐める
カーペットの間に食べカスが詰まり、においがするために舐めることがあります。猫の嗅覚は人間の1万倍〜10万倍ともいわれているため、そのにおいを嗅ぎ分けてカーペットを舐めているのかもしれません。
またそれ以外にもストレスが原因で舐めている場合もあります。これは前述でもお伝えした「ウールサッキング」の可能性があり、猫の問題行動の1つです。
もしもカーペットを舐めるのが不安やストレスからくるものであれば、その子に合ったスキンシップ方法を探してあげてください。そして遊ぶ時間をきちんと設けてあげ、不安やストレスを取り除いてあげてくださいね。
床を舐める
猫が床を舐める理由として「ミネラル不足」があります。
猫はミネラルを体内で作り出すことができないため、ミネラルが不足していると本能的にごはん以外のところで補おうと、砂や石などを舐める行動を取るといわれているのです。
基本的に猫が食べるキャットフードに十分なミネラルが含まれているはずなので、パッケージに記載されている適切な量を与えていれば問題ありません。
家具を舐める
猫がよく舐めている家具の質によっても原因が変わりますが、上記と同様にミネラル不足などが考えられます。
単に家具の香りや舌触りが好きという可能性もありますが、気になるようであれば獣医師に相談してみるのもよいでしょう。
フライパンやコンロを舐める
愛猫が飼い主の目を盗み、フライパンを舐めたり、コンロを舐めたりしていませんか?これは金属を好んで舐めているのではなく、フライパンやコンロに付いた油を好んで舐めているのです。
猫は油が栄養価が高いものと認識しているため、油を舐めてしまうといわれています。少量の油を舐める程度であれば問題はありませんが、大量に油を与えたり、長期にわたって与え続けてしまうと、さまざまな病気を患ってしまう可能性があります。
そのため猫が必要以上の油を摂取してしまわないように、油は目に届かない場所に保管しておくようにしましょう。
珪藻土マットを舐める
バスマットとして使われている「珪藻土(けいそうど)」は、植物性プランクトンである「珪藻」の殻が化石になって積み重なり固くなった土のことを指します。
この珪藻土の質感やにおいが好きだという猫は、意外と多いようです。
珪藻土マットの主成分に毒性はなく、舐めたりかじったりしても中毒を引き起こすことはないといわれています。
しかし珪藻土は本来食べ物ではないため、食べてしまうことはよくありません。猫が珪藻土マットにいる時は、しっかり注意して見てあげるようにしましょう。
猫が自分の体を舐める心理とは?
猫が自分自身の体を舐めることを一般的に「グルーミング」や「毛づくろい」などと呼びます。
体を清潔に保つのはもちろんのこと、気持ちを落ち着かせたり体温調整をしたりなど、さまざまな意味合いがあります。
グルーミングについて、詳しくはこちらの記事にて解説しています。
猫が毛づくろいする心理とは?過剰だと問題?
ここでは、猫が自分の体を舐める際に気を付けて欲しい注意点をまとめました。
特定の部位ばかり舐める場合は注意
下記のような行動や症状が見られる場合は注意が必要です。
- 長時間同じ場所ばかり舐めたり、噛んだりしている
- 舐めた(噛んだ)場所が赤くなっている、脱毛している
これらの行動や症状は過剰グルーミング(オーバーグルーミング)といい、心因性ストレスや体の内側からの痛みや違和感、さらには皮膚のかゆみからくる病気が考えられます。
もしも皮膚に赤みや出血、フケなどの異常が見受けられたら直ぐにかかりつけの動物病院を受診し、適切な処置をしてもらうようにしましょう。
また猫の過剰なグルーミングを止めさせるには、ストレスとなっている根本的な原因を突き止め、取り除いてあげる必要があります。
まずは猫と遊ぶ時間を増やしたり、スキンシップの頻度を多くしたりしましょう。猫にとって部屋の中は快適かどうか見直してあげるのも大切です。
傷口や薬を舐めてしまう場合の対処法
猫は避妊去勢手術をした後、その傷口が気になってしまい、舐めてしまう場合があります。
また塗り薬やノミマダニ薬である「フロントライン」を滴下した後なども、しきりその部分を舐める行為が見られます。
その場合は首に「エリザベスカラー」を付けたり、腹帯や絆創膏を貼ったりすれば傷口や薬を舐めてしまうことを防げます。
エリザベスカラーを極度に嫌がる場合は、術後服専用の「エリザベスウエア」を活用するのも手です。
エリザベスウエアはタンクトップタイプなので動きの妨げがありません。また動いてもずり落ちることなく、体にフィットするので着ている感覚がなく、ストレスの軽減にも効果的だといわれています。
人が撫でたところを舐めるのはなぜ?
猫をナデナデした後、なぜかしきりにその場所だけを必死で舐めていた…なんてことはありませんか。
さっきまでゴロゴロいって喜んでいたのに、本当は嫌だったの?と悲しい気持ちになってしまいますが、実はこんな心理が働いているそうです。
毛並みを元に戻すため
撫でられた後はどうしても毛並みが乱れます。
私たち人間も、せっかくセットした髪型が乱れたら嫌な気持ちになりますよね。それは猫も同じで「せっかく整えたところを乱さないで!」と思っているのかもしれません。
猫の多くはこだわりを持っているため、特に自分のこととなると気になって仕方がないのです。
もしも撫でた後にしきりに舐めていたら、一言「ごめんね」と謝っておくことをおすすめします。
においを消すため
撫でた後は必ず被毛にその人のにおいが残ります。
猫は体を自分のにおいにしておかないと安心しないことがあるため、体についた自分以外のにおいを舐めて消そうとしているのです。
少し悲しい気持ちになりますがこれも猫の本能なので、あたたかい目で見守ってあげてくださいね。
安心感を得るため
猫が舐める理由は体を綺麗に保つ以外にも、心を落ち着かせるためでもあります。
もしかしたら撫でられた時、少し気持ちが動揺したのかもしれません。
猫を触る時はいきなり触るのではなく、まずは指先のにおいを嗅がせ少しずつ距離を縮めていきましょう。
猫は自分の正面に立ち、上から撫でられるのを嫌います。また視線をじっと合わせることは「敵対」を意味しますので、視線があったら瞬きを繰り返して「敵意はないよ」と伝えながら、優しく首回りや顎の下などを撫でてあげてくださいね。
猫同士で舐め合うのはどういう意味があるの?
多頭飼いしているご家庭では見慣れた光景かもしれませんが、猫はお互いの体を舐め合うことがあります。
これは猫同士、仲が良くて舐め合っているのでしょうか。猫同士が舐め合うことには、どんな意味が込められているのでしょうか。
愛情表現
他の猫と体を舐め合うというのは、お互いに信頼関係が築かれている証拠です。
このような行動は「親和行動」といい、なかでも猫がお互いに舐め合うことを「アログルーミング(Allo grooming)」と呼びます。ちなみにアロ(Allo)は日本語で「他の」という意味です。
アログルーミングは猫同士の愛情表現であり、舐め合うことで「ずっと友達だよ」「仲良くしようね」「大好きだよ」という気持ちを伝えているのです。
においをつける
舐め合うということは、相手に自分のにおいがつくということ。
信頼している相手に自らのにおいを付けることで「友達だよ」という関係をアピールしているともいわれています。
信頼関係を築く
お互いを舐め合うことで信頼関係を築いているといわれています。
アログルーミングは、メス同士やメスオスの組み合わせで見られることがありますが、オス同士ではあまり見られません。
そしてメス同士やメスとオスでも、お互いが気に入らなければアログルーミングを行うことはありません。
あくまでも気に入っている相手や、信頼をおいている相手しか行わないのです。
もしも猫同士がアログルーミングを行っていたらお互いに気に入っている、信頼をおいているという証拠です。
自分で届かない場所を舐めてもらう
猫はどんなに体が柔らかいといっても、自分ではなかなか届かない頭や顔、首の後ろなどがあります。
その箇所を信頼している仲間に舐めてもらい、体を綺麗にしてもらっているのです。
信頼関係が強ければ体を曲げたり、舐めてもらいたい場所に誘導したりして調整することもあるそうですよ。
まとめ
猫が舐める行為には、愛情表現が含まれていることがわかりました。
もしも愛猫が飼い主の顔や手を舐めてきたら、それは信頼をしている証拠。あなたのことが大好きだという表れです。
優しく体を撫でてあげ、愛猫の気持ちに応えてあげてくださいね。そうすることで、より深い絆を築くことができることでしょう。