毛のない猫、ヘアレスキャットの種類は?特徴や飼いやすさ

あなたは毛のない猫を見たことがありますか。

近年日本でもよく見られるようになり、代表的な猫としては「スフィンクス」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。実はスフィンクス以外にも毛のない猫は存在します。

ここでは、毛のない猫であるヘアレスキャットの種類や特徴、飼いやすさについて見ていきましょう。

毛のない猫(ヘアレスキャット)の種類一覧

毛のない猫

猫には色々な種類が存在しますが、毛のない猫はその中でも特に個性的です。一度見たら忘れられないビジュアルは一見近寄りがたいですが、実は温厚で社交的な子が多いんですよ。

また毛のない猫といえば「スフィンクス」が代表的ですが、スフィンクス以外にも毛のない猫は存在します。

  • スフィンクス
  • ドンスコイ
  • ピーターボールド
  • バンビーノ
  • ユークレイニアン・レフコイ
  • ミンスキン
  • エルフキャット
  • ドウェルフ

この8種類の毛のない猫たちは、一体どんな性格や特徴を持っているのでしょうか。

毛のない猫種①「スフィンクス」

スフィンクス

原産国:カナダ
体重:約2.5~6.0kg
性格:甘えん坊、好奇心旺盛で遊び好き
特徴:筋肉質でずっしり重みがある、大きなレモン型の目をしている

スフィンクスは一見、近寄りがたい雰囲気を醸し出していますが、実はとても甘えん坊で人懐っこい性格の持ち主です。

また飼い主に対して忠実で愛情深いことから、一度飼ったらその魅力の虜となるでしょう。

スフィンクスの最大の特徴としては、耳が大きく、目は大きなレモン型、ほお骨が高く、口吻(こうふん)部にはくぼみがあります。さらに見た目からは想像が付かないかと思いますが、筋肉質でがっしりとした体型をしています。

遊び好きな一面もありますので、猫とのコミュニケーションを大切にしたい方におすすめの猫種です。

スフィンクス スフィンクスの性格や特徴って?色や体重、飼い方まとめ

毛のない猫種②「ドンスコイ」

原産国:ロシア
体重:約2.5~4kg
性格:賢くて穏やか、好奇心旺盛
特徴:被毛のパターンは「ラバーボールド」「フロックド」「ベロア」「ブラッシュ」の4種類ある

ドンスコイは、1987年にロシアのロストフ・ナ・ドヌという街で発見された猫種といわれています。

スフィンクスにとても似ていますが、スフィンクスの無毛が劣性遺伝※1であるものに対し、ドンスコイは優性遺伝※2によるものだといわれています。

ドンスコイは「ラバーボールド」「フロックド」「ベロア」「ブラッシュ」と呼ばれる4種類の被毛パターンに分かれます。

ラバーボールド
生まれながらに毛がなく、一生毛が生えずに成長する
フロックド
羊の皮から取る柔らかなスエードの革のように優しい肌ざわりの毛をして生まれるが、成長と共に抜け落ちる
ベロア
頭部の一部だけハゲて生まれるが、生後1年で羊のようなカールした毛が生えてくる。しかし、そのほとんどは成長と共に落ちていく
ブラッシュ
毛が抜けないパターン。生涯かけて毛が抜けるのは一部とされている

ドンスコイは社交性があり、人と接することが大好きな猫種です。そのため飼い主に対しての忠誠心が高く、常に一緒にいることを好みます。

しかし多頭飼いをすると、ドンスコイが嫉妬してしまう恐れがあるので、なるべく単頭飼いをおすすめします。

※1.劣性遺伝:両親からそれぞれ異なる遺伝子を受け取った場合、形質として現れにくい方の遺伝子を劣性遺伝子といいます。
※2.優性遺伝:両親からそれぞれ異なる遺伝子を受け取った場合、その遺伝子のうち相手方よりも特徴が出やすい遺伝子のことを優性遺伝といいます。

毛のない猫種③「ピーターボールド」

ピーターボールド
Seregraff/iStock

原産国:ロシア
体重:約2.5~6kg
性格:社交的で誰とでも仲良くできる 愛情深い
特徴:細長い手足、無毛といっても完全に毛がないわけではなく、顔・耳・足先・尾は短毛に覆われている

ピーターボールドはドンスコイを基礎とし、オリエンタルショートヘアを交配して作出された猫種です。

無毛といっても全く毛がないわけではなく、顔や耳、足先、しっぽは短毛に覆われています。また被毛の生え方によって「ボールド(無毛タイプ)」と「ヘアリー(毛に覆われたタイプ)」の2タイプに分類され、そこからさらに細分化されます。

ボールド(無毛タイプ)
①ウルトラボールド(無毛)
②フロック/シャモア(ところどろこに毛が生えている)
③ベロア(モモのような産毛が細かく生えている)
の3種類に分類される
へアリー(毛に覆われたタイプ)
①ブラッシュ(ウェーブやツヤがあり、ふわふわした毛が生えている)
②ストレート(一般的な猫と同じような毛が生えている)
2種類に分類される

ピーターボールドの性格は、社交的で遊び好きです。特に飼い主さんと遊ぶことが大好きで、部屋中くっ付いて回るほど愛情深い猫でもあります。

他の猫やペットとの多頭飼いや、小さな子どもとの生活も問題なく送れますよ。

毛のない猫種④「バンビーノ」

原産国:アメリカ
体重:約2.2~4kg
性格:運動が好き、明るく人懐っこい
特徴:手足が短い、お腹まわりはぽっちゃりしている

バンビーノは、毛のない猫の代表でもあるスフィンクスと、手足が短いマンチカンと交配して作出された猫種といわれています。

バンビーノという名前はイタリア語で「赤ちゃん」を意味し、その名の通り大人になっても子猫のように小さいことから名付けられました。体重は成猫になっても最大4kgほどにしかなりませんので、かなり小さい猫種といえるでしょう。

性格はやんちゃでいたずら好きな子が多く、手足が短いですがピョンピョンと跳び回りながら遊びます。とても明るい性格なので、小さなお子さんがいるご家庭にもピッタリの猫種といえそうです。

毛のない猫種⑤「ユークレイニアン・レフコイ」

原産国:ウクライナ
体重:約3~4.5kg
性格:寂しがり屋、好奇心旺盛で友好的
特徴:前に折れ曲がった耳、しっぽは細長い

ユークレイニアンレフコイは、ドンスコイとスコティッシュフォールドを交配して作出した新品種の猫です。

ドンスコイから受け継いだ無毛の体と、スコティッシュフォールドから受け継いだ折れた耳が特徴的です。体つきは筋肉質かつスレンダーですが、足は意外と太いのも特徴の1つといえるでしょう。

性格はとても友好的で好奇心旺盛です。飼い主と遊ぶことが大好きなので、一緒に遊んであげると大変喜びますよ。

また一見、クールな雰囲気を醸し出していますが、実はとても寂しがり屋さん。そのためお迎えするなら、できるだけ猫との時間を作れる人がよいでしょう。もしくは、社交的なので他の猫や動物と多頭飼いするのがおすすめです。

毛のない猫種⑥「ミンスキン」

原産国:アメリカ
体重:約1.8~3kg
性格:動くことが大好き、好奇心旺盛
特徴:全体的に胴が太い、後足が前足よりも少し長い

ミンスキンはスフィンクスやマンチカン、さらにデボンレックスやバーミーズなどを掛け合わせて生まれた新しい品種の猫です。

全体的に胴が太く、ずんぐりした体型から「猫界のコーギー」と呼ばれることもあります。

性格は遊び好きで活発。見た目からは想像が付かないほど機敏に動きます。またとても賢い一面もあるので、しつけもしやすいでしょう。

さらに飼い主に対しては愛情深く接するので、猫とたくさんふれあいたい方におすすめです。

毛のない猫種⑦「エルフキャット」

原産国:アメリカ
体重:約4.5~6.8kg
性格:陽気で活発、人懐っこい
特徴:カールした耳、筋肉質な体

日本ではあまり見かけないエルフキャット。2004年にスフィンクスとアメリカンカールを交配し作出した新しい猫種です。残念ながら現在では正式な品種としては認められておらず、スフィンクスの変種とされているようです。

エルフキャットの特徴としては、先が尖った大きくてカールした耳に、筋肉質で運動能力に優れた体にあります。活発に動き回り、高い所にも平気で登るので、お迎えする際はキャットタワーがあるとよいでしょう。

性格は社交的でフレンドリーです。人と一緒にいることを好み、誰とでも仲良くすることができます。猫というよりは、犬に近い性格といえそうです。

また順応性も高いことから他のペットを迎えたり、新しい家族が増えたりしてもすぐに馴染み仲良く接することができますよ。

毛のない猫種⑧「ドウェルフ」

原産国:アメリカ
体重:約2~4kg
性格:好奇心旺盛、活発
特徴:短足、無毛、カールした耳

ドウェルフはスフィンクス、アメリカンカール、マンチカンを掛け合わせて作出した猫種です。元となった3種類の猫の特徴を併せ持っているのが特徴で、スフィンクスの無毛(ヘアレス)と、アメリカンカールのカールした耳、そしてマンチカンの短い足を受け継いでいます。

性格は好奇心旺盛で遊び好きです。足が短いことを忘れてしまいそうなくらい機敏に動き回ります。

なぜ毛のない猫種が生まれたの?

毛のない猫が生まれた理由としては、人間が無毛の猫を偶然発見したことから始まっています。

例えばスフィンクスの場合、一般的な猫と同じように自然に生まれました。ただ違いとしては、突然変異で毛がないということ。そのため決して奇形ではありません。無毛の遺伝は、劣性遺伝子によって現れたのです。

1つの遺伝子が異なる遺伝子と一緒になった場合、優性遺伝子と劣性遺伝子では優性遺伝子の形質がより強く現れやすくなります。

そのためスフィンクスを繁殖させた場合、無毛に近い猫と、目に見えて分かるほどの産毛や部分的に毛があるものが生まれ、無毛は生まれにくいことになります。

一方ドンスコイの場合は、無毛の優性遺伝なのでスフィンクスに比べると生まれる確率が高いのです。

同じ毛のない猫であっても、遺伝子の違いによってこんなにも変化が出るというのは、なんとも神秘的ですね。

無毛種といっても全く毛がないわけではない?!

毛のない猫は皮膚が露出していることから「無毛種」と呼ばれています。

しかし毛がないといっても全くないわけでなく、よく観察してみると、皮膚の表面には薄っすらと産毛のような体毛が生えています。

皮膚の色は黒や白、ピンクなどの色をしており、顔や体にはシワが寄っていてなんとも個性的な姿をしています。

一般的な猫ように毛質はふわふわとした手触りではなく、しっとりとした手触りが特徴です。

毛のない猫種の魅力と飼いやすさ

毛のない猫たちは、好奇心旺盛で飼い主に対して従順な傾向にありますが、それ以外にどんな魅力を持っているのでしょうか。

まず毛のない猫の最大の魅力としては「抜け毛がない」ということ。

毛のある猫は、一般的に換毛期と呼ばれる毛の生え変わる時期があります。そのため、短毛種の猫であっても毛が抜け落ちるので、小まめなブラッシングや掃除が必要となります。

しかし毛のない猫はその心配がありませんので、抜け毛に悩まされることはありません。また、毛づくろいやブラッシングなどで毛が部屋中に散らばることもありませんし、長毛種の猫に比べれば猫アレルギーが出にくいので、衛生面も安心して飼うことができます。

さらに毛のない猫は、穏やかな性格をしている傾向にあるので、鳴き声が小さく室内でも飼いやすいのが魅力の1つとなっています。

毛のない猫種を飼う際に気を付けることは?

毛のない猫の性格や特徴などを見ていくと「意外と飼いやすいかも?」と思われた方も多いでしょう。

しかし、毛のない猫も生き物ですので飼う上で気を付けて欲しい6つの注意点があります。

留守番は苦手な傾向

毛のない猫のルーツとしては、スフィンクスとドンスコイが基礎とされています。どちらの猫も性格的に、人懐っこく寂しがり屋な傾向にありますので、毛のない猫の多くは似たような性格をしていると考えられています。

そのため、毛のない猫たちはあまり留守番が得意ではありません。飼い主が出掛けてしまうと寂しがって鳴き続けたり、構ってもらいたい一心でいたずらを始めてしまったりすることがあります。

これらのことからなるべく家族がいる環境で飼ったり、もしくは他の猫と一緒に多頭飼いするなどの配慮が必要となるでしょう。

室内の温度管理

一般的に猫は寒さに強く、暑さに弱いといわれていますが、毛のない猫はどちらも大変苦手なので部屋の温度に気を付ける必要があります。

夏の暑い時期に日差しに当たり過ぎると、皮膚炎を起こすリスクがありますし、寒い冬の時期は被毛がないためブルブルと震えてしまいます。

特に毛のない猫は肌の汗腺が発達しているので汗をかきやすく、皮脂を分泌するため汚れやすくなります。

寒い時期は服を着させてあげたり、汗をかいていたら蒸しタオルなどで優しく拭きとってあげたりしてあげましょう。

紫外線にご注意を!

毛のない猫や、産毛が少し生えている猫たちにとって紫外線は天敵!皮膚に紫外線が当たると炎症を起こしやすいといわれています。

そのため毛のない猫を飼うのであれば、完全室内飼いを徹底し、日光が当たる部屋にいる場合は、日陰になる部分を必ず作るようにしましょう。

皮膚を傷つけない工夫をしてあげて

毛のない猫たちは、毛に覆われていないことから少しの接触でも皮膚を傷付けてしまうことがあります。

そのため毛のない猫が長時間過ごす場所には危険な物を置かないことを徹底し、できればケガ防止のためにも猫用の服を着させるようにしましょう。

また他の猫と多頭飼いしている場合、じゃれあっている時にケガをしてしまう恐れも。多頭飼いする場合は、お互いの猫の爪を定期的に切ってあげることはもちろん、じゃれあってケガをしないようにしっかり見守れる環境を作るようにしてあげてくださいね。

皮膚のお手入れについて

スフィンクスやドンスコイのような毛のない猫は、ブラッシングのお手入れは必要ありませんが、皮膚が汚れやすいので定期的に拭いてあげる必要があります。

特にシワになっている部分は皮脂が溜まりやすいので、シワを伸ばしながら丁寧に拭いてあげましょう。

さらに耳や指の間も汚れが溜まりやすい傾向にあります。こちらは綿棒などを使って定期的にお手入れをしてあげてください。

またケガをしやすい傾向にあるので、普段から小まめにボディチェックをし、傷や化膿している箇所はないか確認をするようにしましょう。

運動できる環境を

全般的に毛のない猫は、好奇心旺盛で遊ぶことが大好きです。ストレスを溜めないためにも毛のある猫と同じように、キャットタワーを設置してあげたり、おもちゃで遊んだりしてあげるようにしましょう。

ただし被毛に覆われている猫とは違い、体に傷が付きやすい傾向にあります。遊んだ後は必ず皮膚の状態をチェックし、汚れがあればきれいに拭きとってあげてくださいね。

まとめ

毛のない猫は一見「こわい」「近寄りがたい」などのマイナスなイメージを抱きがちですが、実際に性格を知ると、愛嬌たっぷりのかわいい猫種だということがわかったかと思います。

まだまだ日本では珍しい猫種ではありますが、家族を大切にする愛情に溢れた猫種なので、見かけたら優しく声を掛けてあげてくださいね。

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